3月に65歳で定年です。貯金が「2000万円」あるので、70歳から年金を受け取りたいのですが、問題ないでしょうか? 経済状況が厳しくならないか不安です
定年退職を迎える時期が近づくと、自身が受け取れる年金はいくらなのか、退職金や預貯金などの資産の状況と照らし合わせて、老後の生活を賄うことができるのかと考える人は多いのではないでしょうか。 20代や30代の頃は意識する機会は少なかったかもしれませんが、50代や60代になると老後の生活を具体的にどうするのか検討しなければならなくなります。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 本記事では、今年3月に65歳定年を迎える人が貯金2000万円ある場合、年金をすぐに受け取らずに70歳まで繰り下げて受給しても大丈夫なのか解説します。 今回のケースでは、老後は夫婦2人で生活し、いままで会社員として働いて稼いだ平均収入はボーナスを含めて40万円程度で、国民年金保険料の未払いや免除などの期間はなく、定年退職するまで厚生年金に加入しているものとします。
65歳以降に夫婦2人が生活するために必要な金額はいくら?
これだけの預貯金で生活していけるのか、年金の繰下げ受給を行っても経済的に影響はないか判断するためには、定年退職後にいくら生活費がかかるのかを明確にする必要があります。 老後に必要な生活費を、総務省統計局が家計調査報告(家計収支編)のデータを見ると、2022年度は65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、消費支出と非消費支出合わせて26万8508円かかっています。つまり夫婦2人で最低でも毎月30万円程度の支出が発生する可能性が高いことが分かります。 老後の生活に限った話ではありませんが、日常生活だけでなく健康上のリスクや臨時出費にも備えて対策する必要があります。例えば病気やけがで通院したり、突然冷蔵庫が故障して買い替えたりしなければならないケースもあるかもしれません。これらを総合的に考慮すると、一時的に30万円を超える支出が発生する可能性もあります。
年金収入だけでは家計は厳しい
65歳からもらえる標準的な年金収入は夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額約22万4000円(2023年度)です。仮に、毎月30万円の支出が発生すると、単純計算で年間約91万2000円の赤字となります。2000万円ある資産は約20年で底をついてしまうことになり、年金だけで生活する場合は非常に厳しいといわざるを得ません。 いまは「人生100年時代」ともいわれ、80歳や90歳を超えても元気に長生きする人が増えています。厚生労働省が公表しているデータでも平均寿命は男女とも80歳を超えています。仮に90歳まで生きる場合、65歳から25年間の生活費をどのように賄うのかは国民的な課題といえるでしょう。