介護保険料『大阪市が全国一高いワケ』は一人暮らしの高齢者が多いから...家族のサポートがなく軽度でも介護サービスが必要となる傾向 「低所得者」の割合の高さも要因
上がり続ける介護保険料。全国で最も高いのは大阪市です。なぜ地域差が生まれるのか、なぜ大阪市の介護保険料は高いのか。そして数十年先、介護保険制度はこのままで大丈夫なのでしょうか。 【写真で見る】『65歳以上の介護保険料』どれくらい高くなっている?2000年度~2024年度の推移グラフ
介護保険料はどうやって決められている?
まず、介護保険制度とは、介護や支援が必要だと認められた場合にいろいろな介護サービスが受けられるというものです。財源を大きく分けると、公費(税金)が50%、保険料が50%です。公費は国・都道府県・市町村が負担しています。保険料50%の部分は、そのうち23%を65歳以上の人たちが、27%を40歳~64歳の人々が支払っています。みんなで介護が必要になった人を守っていこうという助け合いの制度ということです。 この介護保険料ですが、3年ごとに改定され、支払うお金が変わります。65歳以上の介護保険料基準額(月額・全国平均)は、制度が始まった2000年は2911円だったのが、どんどん3年ごとの改定で上がってきて、2024年は全国平均6225円ということです。これは各市町村が3年ごとにどれだけの介護サービスがその場所で必要かを予測して決めていきます。 日本は高齢化社会ですから上がっていくのは仕方がないという見方もできますが、制度開始時から2倍以上に上がっています。これまで負担しただけの恩恵をきちんと受けられるかどうか。これは決して65歳以上の方だけの話ではなくて、現役世代の支払い額ももちろん上がってきています(2000年度は2075円→2024年度は6276円)。
3374円~9249円 地域によって金額が全然違うのはなぜ?
そしてこの金額、それぞれの場所によって差があります。65歳以上の人が払う介護保険料の都道府県別の平均は、大阪府が1位です。市区町村別では大阪市が1位で、初めて9000円を超えて9249円となりました。2位は大阪府守口市、3位は大阪府門真市です。一方で下位1位は東京都小笠原村で3374円ということで、地域によってこんなにも差があります。 では、なぜここまで地域差が生まれるのか。北星学園大学の安部教授によりますと、介護施設の数や内容、高齢者の状況が地域によって違うからということです。具体的には、そもそもその地域に介護施設が多いか少ないか、さらには介護サービスの体制が在宅での介護なのか、施設が中心なのか、また要介護認定率、つまり介護や支援が必要だと認定されている人がどれだけいるか、こういったことが絡んでくるので、ただ高齢の方が多いから高いというわけでもないそうです。あとはどんな家族構成で暮らしている人がその地域に多いのかといったことも関係しているということです。 「介護保険料をそもそも全国一律にしたらいいのでは」という疑問も湧いてくると思うのですが、そこに関しては、介護施設が少ないという理由で保険料が安い地域の住民から不満の声が上がるのではないかということです。つまり、全国一律は平等な気がしますが、全国一律にすることによって逆に不平等感が出るという考え方もあり、そのため地域別に保険料が決められてるようです。ですから65歳以上の介護保険料を支払っている人たちがこうしたデータを見て、「私たちこんなに払ってたの」もあるかもしれないし、逆に「うちの自治体はこの額であのサービスを受けられていたんだ」と喜ぶ人もいるかもしれません。