今後トライトンやハイラックス等へ影響? タイでEV化されたピックアップトラックが続々登場
市場に変化
トヨタは今回のプレゼンテーションの最初に「モビリティ・フォー・オール」また「マルチパスウェイ」という、ジャパンモビリティショーなどで使ってきたメッセージを、タイを含めた共通言語として強調した。 またトヨタによると、昨年11月に発表したハイラックス・チャンプ(日本でのIMV O「アイエムブイ・ゼロ」)を含めて、ハイラックスブランドが24年1~2月期のタイ・ピックアップ市場シェアの47%を占めるという。 こちらは、ガソリン車とディーゼル車であり、実需を考えるとこれらが一気にEV化に進むとは考えにくい。充電インフラがバンコク都市部などを除いて未整備な地域が少なくないことや、ピックアップトラックのユーザーは主に小規模な自営業者であり、ピックアップトラックの価格設定に対して敏感だからだ。 そのため、トヨタとしては企業方針の一環として、ハイラックスの生産国であり、国としてもEVシフトに積極的なタイでハイラックス「REVE e」を段階的に普及させようとしている。 日本市場向けとしては現時点で発表はない。そして、日本のユーザーが気になるのが三菱「トライトン」についてではないだろうか。
タイでも高評価のトライトン
12年ぶりに日本再上陸となるトライトンについては、3月上旬に富士山麓で実施された報道陣向け試乗会の模様がネットや雑誌で取り上げられ、走破性/ハンドリングの軽快さ/乗り心地が高水準でバランスしているとして高い評価を得ているところだ。 タイでも、今回のショー開催前に路面状況が厳しいオフロードコースで試乗会が行われて高評価だという。 電動化の可能性について、日本仕様を含めて生産を行うタイの三菱現地法人関係者に聞いたが、現時点では電動化の計画はないという。 将来については未知数だが、パートナーである日産の次期ナバラを含めて、将来的な可能性はゼロではないはずだ。 そうした中、足元で三菱としては、FFのハイブリッド車「エクスパンダーHEV」をタイで電動車の筆頭とした電動化戦略を進める。 この領域では、EVまたはHEVというカテゴリーの垣根を超えた、価格競争が熾烈さを増している状況。特に、直近では販売を急激に伸ばしている中国EVブランドの影響が大きい。 その上で三菱としては、エクスパンダーHEVの商品性の高さと販売店でのサービスの質の高さをユーザーにアピールしていく見込みである。
桃田健史(執筆/撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)