天地真理と西城秀樹、2大人気アイドルの演技と歌唱をたっぷりと見られる番組「はばたけ!真理ちゃん」
「はばたけ!真理ちゃん」は、70年代を代表する国民的アイドル"天地真理"の冠番組で1974年10月から1975年3月にかけて放送された。天地は1971年6月に人気ドラマ「時間ですよ」で、堺正章が演じる"健"が憧れる"隣のマリちゃん"役で出演したことがきっかけでブレイク。同年10月にシングル「水色の恋」をリリースして歌手としてもデビューした。オリコンの週間ランキングに初登場9位を記録して、その後もセールスを伸ばして最高位3位に達するロングヒットとなった。1972年2月に発売された2ndシングル「ちいさな恋」、5月に発売された3rdシングル「ひとりじゃないの」が共にオリコン1位に輝き、国民的アイドルとしてのポジションを確立。 【写真を見る】「赤毛のアン」のギルバートを演じる西城秀樹 1972年10月に初の冠番組「真理ちゃんとデイト」が始まり、翌1973年3月まで放送された。そして「となりの真理ちゃん」(1973年4月から9月)、「とび出せ!真理ちゃん」(1973年10月から1974年3月)、「アタック!真理ちゃん」(1974年4月から9月)という順番で"真理ちゃんシリーズ"が続き、1974年10月から1975年3月にかけて第5弾にしてシリーズを締めくくる「はばたけ!真理ちゃん」が放送された。 「はばたけ!真理ちゃん」の内容は、世界の児童文学作品を天地がゲストを迎えて演じるというもの。その初回(1974年10月3日放送)のゲストとして登場したのが西城秀樹だった。オープニング曲の「新しいともだち」を歌唱後、天地は「皆さん、こんばんは。今日からバッハくんとピッピちゃんと一緒に新しい番組をお送りしたいと思います」と挨拶し、人形のバッハとピッピと一緒にオープニングトークを展開。この人形のキャラクターデザインを担当したのは、巨匠・手塚治虫。 第1回で取り上げた作品は「赤毛のアン」。カナダの作家L・M・モンゴメリが1908年に発表した小説で、赤毛の女の子"アン"を主人公に、カナダのプリンスエドワード島のグリーン・ゲイブルズが舞台になっている。「みなしごのアンという女の子がいろいろな困難にぶつかって成長していく物語なの」と天地が説明し、物語が始まった。 アンを演じるのは、赤毛のウィッグをつけた天地。マシューとマリラの兄妹が孤児院から働き手として男の子を引き取ろうとしたが、手違いで赤毛の女の子"アン"がやってきた。アンを孤児院に戻そうとも考えたが、アンと話をして、引き取ることを決めた。学校に通うようになったアンがクラスで出会ったのが、ギルバートという男の子だった。そのギルバートを演じるのが西城秀樹。赤いジャケットにグレーのパンツ、そしてハンチング帽といったおしゃれな男の子で、クラスの人気者。しかし、前の席の女の子の三つ編みをイスにくくりつけたりするイタズラ好きでもあり、初対面のアンにも「赤毛だ。ニンジンだ、ニンジン」とからかい、アンに分厚い本でのキツイ一撃をくらってしまう。アンの方も反射的に手が出てしまう"おてんば"っぷりを発揮したり、女の子の友達に間違えてお酒を飲ませてしまう"ドジ"っぷりも発揮。 そんなふうに、その先の展開が気になるようなストーリーが展開した後は、歌のコーナーへ。ゲストの西城が歌唱したのは「傷だらけのローラ」。「激しい恋」に続く1974年8月にリリースされた10枚目のシングルで、感情を込めて熱唱する姿に惹きつけられる。前を大きくはだけた黒い衣装で色気も漂っている。天地は1974年9月にリリースした11枚目のシングル「想い出のセレナーデ」。白い衣装で切々と歌う姿が印象的。 第2回(1974年10月10日放送回)も「赤毛のアン」の続きで、引き続き西城秀樹がゲストとして出演。アンはギルバートをライバル視していたが、いつしか認め合い、間の溝も埋まろうとしていた。劇中で「音楽会」が開かれ、そこで西城はギルバートとして「傷だらけのローラ」を歌唱。第3回(1974年10月17日放送回)も西城秀樹がゲストで、「赤毛のアン」の完結編を見せてくれている。 天地真理と西城秀樹。2大人気アイドルの演技と歌唱をたっぷりと見られる番組になっているのでぜひじっくりと見て楽しんでもらいたい。 文=田中隆信
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