工藤阿須加”雉谷”のセリフに共感しかない…今回、”鷹野”が生んだ奇跡とは? ドラマ『無能の鷹』第4話考察レビュー
菜々緒主演のドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)が放送中。はんざき朝未の大人気コミックスを原作とした本作は、超有能そうに見える主人公・鷹野ツメ子が実は実は全く仕事ができないという、超脱力系お仕事コメディ。今回は、第4話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】工藤阿須加、井浦新ら個性的キャストの貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『無能の鷹』劇中カット一覧
隠れた「仕事が出来る」タイプ
学生の時、「仕事ができる」ってどういうことかと一度は考えたことがあるのではないのだろうか。 営業として次々と契約を勝ち取ってくるのも優秀な営業マンだし、上に立って部下に的確な指示を送ることができるのも立派なリーダータイプだ。だが、社会に出る前まであまり想像することができなかった「仕事ができる」タイプこそ『無能の鷹』(テレビ朝日系)の雉谷(工藤阿須加)だろう。 雉谷は「会社でさまざまな地雷を踏まない」ために全力を尽くしている。 取引先に応じて好青年からチャラ男まであらゆるパターンのキャラクターを使い分け、面倒な役回りを任されそうになれば巧みな誘導により、優しすぎて損ばかりの鳩山(井浦新)に押し付ける。一見嫌な人間とも感じるが、社会人として学ぶべき点は少なくない。 雉谷いわく上司が一番怒るのが「俺、聞いていないんだけど」だ。人は大人になっても見栄やプライドを重視することが往々にしてあり、自分の知らないところで何かが進んでいた時、軽んじられたと感じて怒りへと転化する。 だからこそ、社会人は「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」を最初に教わるわけだが、雉谷は今もその基本を忘れていない。関係ないと思う事案でも上司に対してメールのCCを入れ、リスクヘッジを怠っていないのだ。
「都合のいい人」鳩山との対比
雉谷は社会人として大事なことを教わることができる一方、残酷な現実も突きつけてくる。雉谷は仕事ができるが、出世を望んでいるわけではない。それは理不尽な会社という組織に期待をせず、頑張っても報われることはないとわかっているから。 確かに出世すれば給料も増えるし、周囲からは尊敬もされるかもしれない。しかし同時に、人から疎まれることも多くなり、揉め事に巻き込まれるリスクも高くなる。雉谷はそれらを天秤にかけ、あきらめと悟りの境地に至ったのだろう。 また、印象的だったのが鳩山との対比。すでに第2話でも描かれているように鳩山は社内で「都合のいい人」となってしまっており、第4話でも社内運動会の仕切りという厄介な役回りを任されている。 それ以外にも新入社員の鶸田(塩野瑛久)のことを心配したり、会社のためや周りの人間のために動く姿は度々見られている。そんな鳩山を雉谷は尊敬していると認めつつ、なりたくないとも明かす。社会の世知辛い現実を映像として見ているようで、胸が苦しくなった人も少なくないだろう。