堂本剛、綾野剛を「綾ちゃん」呼び!27年ぶり単独主演映画『まる』の難役も「大きな愛に包まれながら演じ切ることができた」共演者&スタッフ陣に感謝
堂本剛が主演を務める映画『まる』(10月18日公開)の完成報告イベントが9月18日にesports銀座 studioで開催され、堂本をはじめ、綾野剛、小林聡美、吉岡里帆、森崎ウィン、荻上直子監督が出席した。 【写真を見る】吉岡里帆はブラックコーデにパープルをプラスしたコーデで登場 2024年にデビュー26周年を迎えたKinKi Kidsとして国民的スターの顔を持ち、クリエイティブプロジェクト「.ENDRECHERI.」としても独自の道を切り開く堂本が、1997年の『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』以来27年ぶりに映画単独主演を果たした本作。美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている沢田が、ある日蟻に導かれるように描いた○(まる)を発端に、日常が○に浸食され始める奇想天外な物語だ。堂本が報道陣の前に姿を現すのは、独立後初めてのこととなった。 荻上監督の当て書き脚本によって、沢田という男の心の旅路を演じ切った堂本。「沢田という役は、僕の役者人生と言っていいのでしょうか。数々の役を演じさせていただいてきた人生のなかでも、受け身の役というのはあまり演じてこなかった」と切り出し、そのなかでも「また一段階、難しい受け身の役だった。非常に難しかったです」と吐露。「皆さんのお力添え、大きな愛に包まれながら、リラックスして、難しい沢田を日に日に解決しながら、答えを出しながら、演じることができた。自分一人だけの力ではなくて、たくさんの方に力をもらいながら沢田を演じきることができた」とキャスト、スタッフ陣に感謝を伝えた。 堂本を主人公に当て書きするうえで「脚本を書く段階から何度か打ち合わせを重ねていた」と堂本とのディスカッションを明かした荻上監督は、「実際に撮影現場で一緒にお仕事をしていくなかで、想像以上に純粋な方なんだなということが毎日伝わってきた。その純粋さが、沢田という役を通して出ているんじゃないかと思う」と太鼓判。撮影においても話し合いを重ねたそうで、堂本は「ワンシーン、ワンシーン、撮る前に、かなりのミーティングをしてから撮るということを自然とやっていた。それは自分自身が芝居を楽しんでいる証でもあった。監督の想いの詰まった作品ではもちろんありますが、僕自身がいろいろな感情をいい意味で忘れながら、役に没頭できた。いま振り返ると、そういう作品を書いていただけただなと思います」と久しぶりの役者業に並々ならぬ充実感をにじませていた。 沢田の隣人である売れない漫画家、横山を演じたのが綾野だ。綾野は「とても温かった」と堂本と過ごした時間を思い返しながらにっこり。「剛さんとお仕事ができること、ご褒美のような時間でした。他者に対する愛情、体温をちゃんと届けてくれる方。現場ではお互いにぬくぬくしてしまって。こたつに入りながらずっとしゃべっているような感じで。実家感があった」と目尻を下げると、堂本も「実家感。のんびりと、しゃべっていましたね」と同調。綾野は「出来上がった作品を観て、そうやって人同士としてしゃべっている時間が重要だったのかもしれないと思いました」とその時間も映画に反映されていると話した。 綾野が「剛さん」と呼ぶなか、堂本は「僕は、彼がずっと呼ばれていないだろう、これからも呼ばれないかもしれないものをいろいろと考えた結果、“綾ちゃん”と呼んでいました」と呼び方を打ち明けて、会場も大笑い。綾野は「うれしかったです。温かくなりますよね。“綾ちゃん”って」と微笑むなど抜群のコンビネーションを見せた2人だが、綾野のクランクアップには、堂本が駆けつけたという。綾野は「僕のクランクアップの時に、剛さんが来てくださって。それがとてつもなくうれしかった。気づいたら、剛さんのクランクアップに行っていました」とこちらも現場に向かったそうで、クランクアップ時に綾野が来ると知らなかった堂本は「その日はなんともいえない夕日で。美しい景色を見た後、『撮影、以上になります』というスタッフさんの声の後に、『剛さーん!』って声が聞こえてきて、綾ちゃんが走ってきた。なんともいえない感動的なシーンでしたね。このシーンも撮りたいくらい、きれいな景色でした」とうれしそうに話し、「花束とケーキをいただいた。ありがとうございました」と感謝しきり。綾野は「バレンタインデーだった」と2人で笑顔を見せ合っていた。 ミャンマー出身のコンビニ店員モー役を演じた森崎は、「コンビニの撮影場所にクレーンゲームがあった。撮影用ではなく、もともとそこにあったものなんですが、途中から剛さんがその前に入り浸っていた。お金を入れてクレーンゲームをずっとやっていた。あれは実際に取れたんですか?」と気になっていた疑問をぶつけた。堂本は「5、6、7個と日を追うごとに取れまして。腕が上がっていった。昔から吸収する力があるので」とちゃめっ気たっぷりに語りつつ、「人形のクレーンゲームだったんですが、(撮影で)ご一緒した小さな女の子とその人形の話になりまして。僕がゲットしたのはゴールドの人形。その子はたまたま、その大きいバージョンを持っていて。『僕この間、ゴールドをクレーンゲームで取ってん』と話したら、『ええ、いいな!』とゴールドは持っていないというので。撮影の合間に家まで戻って、ゴールドを取ってまたすぐに現場に戻って、ゴールドを渡した。そうしたら大きいのをくれて、大きいのとゴールドを交換するという感動的なシーンが生まれた」とほっこりとしたやり取りを披露して、さらに会場を笑わせていた。 温かな雰囲気いっぱいの会見となったが、堂本は「現場もこんな感じで、アットホームに進んでいた」と登壇者陣を見渡してしみじみ。何度も台本を読み返しながら作品と向き合っていたと振り返り、「この映画に漂っている空気はすごくやさしいし、でもただやさしいだけじゃなくて、強いものがあるなと思った。その強さとやさしさによって、いろいろなことに気づかせてもらい、考えさせてもらった作品」だと告白。「映画館で、たくさんの方にこの作品と対話してもらいたい。自分の心を『まる』という作品につなげて、自分の人生、自分のこれから、自分のいま、いろいろな自分を感じ取っていただけたら。たくさんの人々のこれからの未来が、もっともっと自分らしい未来につながるように。そんな勇気を与えられたらと思って、みんなで一生懸命に楽しみながらつくりました」とたっぷりと愛情を傾けていた。 取材・文/成田おり枝