『パラノマサイト』発売1周年記念コラボイベントで制作陣が1年間を振り返る。ゲームの名場面をジオラマ化した展示やコラボカフェなどが楽しめる期間限定イベントが4月26日まで開催中
スクウェア・エニックスは、ホラーミステリーアドベンチャーゲーム『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』(以下、『パラノマサイト』)の発売1周年を記念したコラボイベントを、東京・有明にあるスモールワールズで3月9日から4月26日まで開催している。 『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』画像・動画ギャラリー 本作が発売されたのは、ちょうど1年前の2023年3月9日。今回のコラボイベント開催初日には、アニバーサリーにふさわしくディレクターとシナリオを担当した石山貴也氏を始めとしたクリエイターたちが集結し、トークショーやサイン会も実施された。 コラボ期間中、スモールワールドでは名場面をピックアップしてジオラマ化したミニチュアの展示や一般のジオラマの中に隠れている呪影たちを探し出すキャラ探しゲームなども実施されている。 前者はゲームの世界で描かれたものとは異なる視点で楽しめるようなものになっており、ついつい見入ってしまうような出来映えとなっていた。また、後者は注意深く探さないと見つからないような巧妙な配置がされている。いくつ見つけ出すことができたかということも含めて、ぜひともチャレンジしてみてほしい。 同施設内では、公式グッズの先行販売に加えて、2Fのミュージアムカフェでコラボメニューも提供されている。カフェのメニューはゲームの世界観をイメージしたものやキャラクターたちがモチーフになっており、おいしく食べるだけではなく写真映えしそうなものばかりとなっていた。こちらの記事では、その中からトークショーの模様を中心にレポートをお届けする。 文/高島おしゃむ ■これまでの1年を振り返る開発陣によるトークショー 3月9日の13時から行われたのが、『パラノマサイト』の開発に携わったクリエイターたちが集結したトークショーだ。こちらでは、ディレクター/シナリオを担当した石山貴也氏、キャラクターデザインを担当した小林元氏、サウンドを担当した岩﨑英則氏、そしてプロデューサーの奥州一馬氏の4名が登壇した。 まずは、本作のこれまでの振り返りからトークがスタート。最初に発表が行われたのは、2023年2月に行われたNintendo Directだった。3月に本作の配信が開始され、メタスコア86を獲得。石山氏によると最初のピークが訪れたのは8月に行われたサマーセールの時だったという。このときに、セール記念の描き下ろしイラストを配信したところ、「こんなにバズるとは思わなかった」というぐらい大きな反響があったという。 ピークに続いて訪れたのが、絶頂期である。9月にはポップアップストアのオープンやスクエニカフェとのコラボを開催。東京ゲームショウ2023年のステージにも出演している。また、日本ゲーム大賞受賞を始め、さまざまな賞へのノミネートや獲得が続いていく。こうしたことについて、奥州プロデューサーは「びっくりのひと言に尽きる」と、素直な感想を述べていた。 ちなみに石山氏によると、賞自体は獲得することはできなかったものの海外でもノミネートはされていたのだという。発売前よりも発売されてから徐々に盛り上がっていった感のある本作だが、当初は発売後のことは何も予定が決まっていなかったとのこと。そうした状況でありながら、さまざまなコラボなどが実現できたのは「ファンの皆さまのおかげ」と感謝を述べる。 また、サウンドを担当した岩﨑氏はこの1年あまり本作に関わる機会が少なかったそうで、「ぜひともコンサートを実現したい」と抱負を述べていた。これに対して、会場内からは大きな拍手が湧き上がると同時に、奥州プロデューサーも「実現に向けて進めていきたい」とコメント。実現には時間がかかる可能性もあるが、気長に続報を待とう。 ■実際に起きた開発中の不思議な体験 振り返りのつぎに行われたのは、事前にファンから募集した質問に対して登壇者が答えていくQ&A形式の質問コーナー。ここではその中から、いくつかをピックアップしてご紹介していく。 最初の質問は、「開発中に不思議な体験をした人はいるか」というもの。これに対してサウンドの岩﨑氏は、犬の散歩で公園に行ったときに木の茂みの中におじいさんが立っているのを見かけたというエピソードを披露。スマホのカメラでおじいさんを撮って拡大してみたところ、首が曲がっていたのだという。もう1度振り返ってみると、すでにそのおじいさんはいなくなっていた。 このイベントで紹介しようと思い探してみたが、その写真は見つけることができなかったそうだ。ちなみに、その公園には公衆電話があったため、公衆電話を見るたびに怖いという感情が沸き起こってくるようになったという。 つづいての質問は、ホラーが苦手なプレイヤーでも刑事コンビ(津詰徹生と襟尾純)がコミカルであったためクリアまで楽しむことができたというユーザーから「なぜこのようなキャラクター設定が生まれることになったのか」というもの。こちらについて石山氏は、こんなに愉快になるとは思っていなかったという。当初はちょっとお茶目なおじさん程度の設定だったのが、書き始めていったらどんどん止まらなくなっていったそうだ。 また、「気に入っているセリフは何か」という質問では、呪霊が出てきた瞬間に津詰が言う「うっ、突然出た!」だと石山氏が回答する。そもそもそうした心構えはあったはずなのに、そうしたセリフができたというところがお気に入りとなっているようだ。 サウンドトラックがお気に入りだというユーザーからの「メインテーマや呪詛珠を入手するときのBGMで女性が歌っている部分に意味があるのか」という質問に対しては、岩﨑氏が「意味はありません(笑)!」ときっぱりと否定した。 言葉自体に意味はないのだが、人間が歌えないような速さになっているとのことで「それを聴いたら脳内で混乱するだろう」という狙いを込めて楽曲が作られているそうだ。また、メインテーマの声も綺麗なものではなく音楽的にはドとレのように隣の音で和音を見つけるようにしている。それによって、不協和音に聞こえるようにしているとのこと。こうしたテクニックを利用することで、歌詞というよりも聴いた印象が “気持ち悪く感じる” ようになっているという。 ゲーム内に登場する「なめどり」が好きだというユーザーからは、その誕生の裏話が聞いてみたいという質問が寄せられた。じつはこれまでメディアなどのインタビューでこの「なめどり」について深く聞かれることはなかったという。 しかし石山氏は、開発中いちばん楽しかったのが「なめどり」について考えているときだったと明かす。「なめどり」のイラストを依頼してテイストに注文を付けるなどの演出をしているときがいちばん充実していたそうだ。 「なめどり」が生まれることになったのは、開発も終盤に近づいたときだったという。「探索要素がほしい」と追加されることになったのである。石山氏があまりにも「なめどり」に熱を入れていたことから、奥州プロデューサーは思わず「ここにそんなに時間かけます?」と言ってしまったそうだ。 石山氏によると、この「なめどり」の大事なところは「鳥にやる気を出させないこと」だという。普通は鳥に服を着せるとポーズをとったり怒っていたり笑っていたりしてしまいがちだが、あえてそういう感じは一切出さないようにしているのである。“まず鳥であること” を尊重した石山氏のポリシーが語られた。 最後の質問は、今回のスモールワールズのコラボイベントについてのもの。ゲームとジオラマ展示というあまり聞いた事がないイベントだが、こちらはどのような経緯で開催されることになったのだろうか? こちらは、奥州プロデューサーが付き合いのあったビットキャッシュとの関係がきっかけとなっている。ビットキャッシュはスモールワールズのスポンサーも行っているため「何かやりたいですね」という話をしていたところ、今回のイベントが実現したという。 今回のコラボを実現するにあたり、スモールワールズ側もゲームをプレイしており、それがジオラマやミニチュアなどのディテールにも現れている。 ■全キャラのプロフィール公開やコミカライズなど最新情報も発表! ユーザーからの質問コーナーが終わったあと、最新情報に関する発表が行われた。まずは公式サイトのアップデートから。3月9日より各キャラクターのプロフィール情報が追加されている。こちらでは、全キャラクターの生年月日や誕生日、血液型などの情報に加えて、表情パターンのイラストも公開されている。 また、簡体字と繁体字の中国語版も2024年に対応することが決定。こちらはアップデートで配信される予定となっている。本作は海外のファンも多いタイトルだが、アジア地域でも需要があることからこうした決定が行われている。 続いて発表されたのが、今回の目玉ともいえるコミカライズの決定だ。今回は『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の物語をそのままコミカライズするのではなく、その一件の後で黒鈴ミヲを中心に “新たなファイル” が描かれていくというもの。脚本はミステリー作家の川崎草志氏、作画は桃山ひなせ氏が担当している。 そこに石山氏も加わり、新たな物語が楽しめるようになっているのだ。もちろん、本所七不思議に登場したおなじみの人物たちも関わってくるそうなので、そちらについても楽しみにしよう。具体的な公開時期は明らかになっていないが、奥州プロデューサーによると年内の公開を目指し鋭意制作中とのこと。 先ほども紹介したとおり、発売1周年記念キービジュアルデザインを採用したオリジナルグッズも販売される。こちらはアクリルキーホルダーやクリアポスター、Tシャツなどが多数用意されているほか、スモールワールズのミュージアムショップでも先行販売が行われている。 ちなみに、アクリルキーホルダーで描かれているイラストは、すべて小林氏が新規で描き下ろしたものだ。これまでになかったイラストの表情にしたいということから、並垣はナンパしているときの表情で描かれている。 また、3月8日から8月30日までファミマプリントに『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』が登場する。こちらはL版が200円、2L版が300円となっており、ファミリーマート店内に設置されているマルチコピー機「ファミマプリント」で印刷することができる。 ひと通り発表が終わった後で、登壇者たちのサイン会も実施された。こちらにも長い列ができるなど、なかなかの盛況ぶりであった。 というわけでこの日のイベントはすべて終了。残念ながら今回会場に来ることができなかったという人も、スモールワールズとのコラボイベントは4月26日まで開催されるので、ぜひこの機会に遊びにいってみよう!
電ファミニコゲーマー:高島おしゃむ
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