糖尿病であっても食べる楽しみを持ってもらいたい 糖尿病患者向けの宅配弁当店主の思い
富山テレビ放送
日本人の5人に1人が患者かその予備軍とされ、国民病とも言われる糖尿病。県内でも増加しています。 改めてどんな病気かというと...。 膵臓から出るインスリンの作用が弱まることで血糖値が下がらず、血液の中のブドウ糖の濃度が高くなる病気です。 治療には薬に加え、日々の食事療法や運動も欠かせません。 そうした食生活をサポートしようと糖尿病に特化した食事を提供する弁当店を取材しました。 糖尿病患者向けの宅配弁当店を営む酒井仁史さんです。 昼食と夕食の一日2回、出来立てを届けています。 別の会社で11年間、宅配弁当の仕事をしていた酒井さん。 7年前に自身が糖尿病を発症したことをきっかけに独立し、糖尿病患者向けや予防のための宅配弁当店を起業しました。 今よりも体重が20キロも多かったという酒井さんは当時の様子をこう振り返ります。 *デリサンテ 酒井仁史社長 「とにかく好きなものを好きな時に好きなだけ飲んで食べてという生活だった。特に定期的に運動することもなく。完全に生活習慣病からくる糖尿病だった」 県内でも糖尿病患者は増えていて、通院している患者の数は2022年の推計で5万9000人。右肩上がりに増え、30年でおよそ4倍になっています。 入院も経験した酒井さんは...。 *デリサンテ 酒井仁史社長 「入院中は出されるものを食べていればよかったが、(家では)苦労したり悩みを持っている方も多いのではと。(糖尿病の)食事療法が必要な人に、経験者として何かサポートできればという思い出やっている」 糖尿病食は量が少なく、味が薄いというイメージがありますが...。 酒井さんは糖尿病であっても食べる楽しみを持ってもらいたいと、塩分とカロリーを抑えながらも、彩り豊かな食事を提供しています。 管理栄養士がメニューを作成。 一食あたり塩分2g前後、およそ520キロカロリー。 味付けには工夫も...。 *デリサンテ 酒井仁史社長 「酢に白すりごまと塩と砂糖(で味付け)。味付けはさっぱりしているし、ゴマの風味もあるのでおいしく食べてもらえると思う」 この他にもだしを効かせたり、スパイスを活用するなど、飽きないで食べられる工夫がされています。 この日のメニューは鮭のパターコーン焼きをメインに、茄子と椎茸・インゲンの煮物、うな玉、ピリ辛もやし、キャベツの胡麻酢和え、鳥ごぼうご飯の6品。 結構ボリュームもあります。 1食あたり配達料込みで890円。(税込・配送エリアは旧富山市) 1日におよそ180食の注文があり、客の6割が60歳以上で、糖尿病を患っている人のほか、健康意識の高い女性層からの注文も多いそうです。 *デリサンテ 酒井仁史社長 「おいしそうとか、食べてみたいとか。食事の時間は人にとって楽しいものであってほしいし、その思いで彩りなども工夫している。(糖尿病は)病気との長い付き合いになるので、その面で上手にサポートできたらと思う」 この会社では糖尿病だけでなく、腎臓病の患者向けの弁当も販売しているということです。
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