厚木基地航空騒音訴訟 「移駐で騒音軽減」地裁判断に原告側「不当判決」
厚木基地第5次爆音訴訟の判決で、横浜地裁は原告団が最も訴えた空母艦載機の米軍岩国基地(山口県岩国市)移駐後も騒音被害が依然として深刻であるとの主張を認めなかった。米軍機と自衛隊機の飛行差し止めについても同様の司法判断で、原告団関係者は「極めて不当な判決で大変残念な結果になった」と悔しさをあらわにした。 【図で見る】厚木基地騒音訴訟の経過 判決を受けて原告団は20日午後3時半から地裁近くで報告集会を開催。大波修二原告団長(78)は「2018年3月に艦載機部隊が移駐完了しても、住民が騒音に苦しみ、ひどい生活をしていることを裁判官は全く考えていない。判決には到底納得できない」と硬い表情で感想を語った。 騒音の元凶とされた厚木基地所属の約60機のジェット戦闘機は住民の法廷闘争の成果などで移駐が実現した。ただ、その穴を埋めるかのように海上自衛隊の大型哨戒機や他の基地に所属する米軍輸送機オスプレイの飛来が増えて現在に至る。 原告団はこの間の環境変化を最新の科学的知見に基づいた新たな方法で評価するよう求めたが、判決では認められなかった。 福田護弁護団長は「50年近く前に現在の評価法の策定に関わった田村明弘・横浜国大名誉教授に『物理量(測定データ)だけでなく、住民反応をベースに見直す必要がある』と証言してもらったが、裁判官は理解できなかったのか。全国の航空基地騒音訴訟の今後を左右する問題なので諦めずに、この田村理論が認知されるよう工夫したい」と意欲を見せた。
神奈川新聞社