かつて「英国で一番美しい」と 言わしめたクーペ|1954年式 ACアシーカ・ブリストル
エンジンの供給源を失ったACのその後とは
一方、エンジン供給源を失ったACでは、英国フォードが中型サルーンの「ゼファー」用として生産していた2.6L直列6気筒にスイッチするものの、その性能はブリストル・ユニットには遠く及ばず、63年をもってエース/アシーカともに生産を終了。 そして、アメリカ人の元レーサー、キャロル・シェルビーのプロデュースにより、ACエースに4.2L(直後に4.7Lに変更)のフォードV型8気筒を搭載した伝説の「ACコブラ」へと生産の主力を移行するのだ。 ACアシーカは、AC自社製エンジン搭載車が151台、ブリストル・エンジン搭載車が169台だけしか製作されていないとされる希少モデル。日本に生息する個体は、おそらくは一けたの台数に収まると見られている。そして、あの歴史的名作ジャガーEタイプが誕生する61年以前には「最も美しい英国製クーペ」という評価も受けていたとも言われている。 わが国では、その存在を知る者も決して多くないモデルながら、掛け値なしのマスターピース。それが、ACアシーカ・ブリストルなのである。 初出:ノスタルジックヒーロー vol.199 2020年6月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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