「勉強しなさい」はなぜ子どもに響かない?疲れてしまった時、保護者が「本当に伝えるべきこと」
ダラダラとゲームをしている子どもに「勉強しなさい」と声をかけても、なかなか始めようとせず、つい叱ってしまう……。 日常生活の中でこんな悩みを抱え、「勉強させることに疲れてしまった」という保護者のかたも多いのではないでしょうか。 でも実は、「勉強しなさい」という声かけ以外のアプローチによって、お子さまのやる気を引き出すことができるかもしれません。 この記事では、トラストコーチングスクール認定コーチとして活躍し、ご自身も3児の母親である中原絵里子さんに、「勉強を後回しにする小学生の子どもへの声かけ・接し方」「学習に適した環境づくりのポイント」をお聞きしました。ぜひ参考にしてみてください。
「勉強しなさい」は、本当に効果的?
【「勉強しなさい」と言われないお子さまほど、成績上位の割合が多い】 まず、ベネッセ教育総合研究所と東京大学社会科学研究所が共同で行った調査研究の結果をご紹介します。この調査によると、「勉強しなさい」と言われる頻度が少ないお子さまほど、成績上位の割合が多い傾向が見られました。 図1 出典:東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2023」 ※保護者回答は、小1~高3の子どもをもつ保護者による回答。 ※小1~3生は2教科(国・算)、小4~6生は4 教科(国・算・理・社) 、中高生は5教科(国・数・理・社・英)の学校での成績の自己評価を5段階で回答。総合得点を算出し学校段階ごとに人数が均等になるように「成績上位」「成績中位」「成績下位」の3つに分類した。小1~3生は保護者の回答、小4生以上は子どもの回答による。 ※お子さまへの関わりを尋ねる設問で「「勉強しなさい」と言う」に対して、「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した者を「ある」群、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と回答した者を「なし」群とした。
【落ち着いて勉強できる環境を整えている家庭ほど、お子さまの成績も高い傾向】 また、同じ調査の中で、保護者のかたに「落ち着いて勉強できる環境を整えている」かどうかを尋ねたところ、そのような環境を整えていると回答した家庭ほど、お子さまの成績も上位となる割合が多い傾向が見られました。 図2 出典:同上 ※お子さまへの関わりを尋ねる設問で「落ち着いて勉強できる環境を整える」に対して、「とてもあてはまる」「まああてはまる」と回答した者を「ある」群、「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」と回答した者を「なし」群とした。 これらの結果からは、因果関係までは特定できないものの、「勉強しなさい」という働きかけが、必ずしもプラスの結果につながっていない可能性が見えてきました。その一方で、学習環境と成績との間には正の相関関係があると考えられます。 「勉強しなさい」という声かけには、どんな問題点が潜んでいるのでしょうか。また、具体的にどんな環境だと落ち着いて勉強ができるのでしょうか。ここからは、中原絵里子さんにお話を伺います。