魚の世界にも食品ロス!?瀬戸内海の島で「未利用魚」を使ったレストランにかける漁師の思い【エコナビ】
岡山放送
(森下花音アナウンサー) 瀬戸内の環境にまつわるエコな話題をお届けする「エコナビ」。4月26日のテーマは「未利用魚」です。中塚さん、長尾さん聞いたことありますか? (中塚アナウンサー) ないですね。利用されていないという意味ですか? (森下花音アナウンサー) そうなんです。未利用魚とはサイズが大きすぎたり人気がなかったりと市場で価値がないいわば「食品ロス」となってしまう魚のこと。3月、丸亀市の本島で未利用魚を使ったレストランがオープンしたということで早速取材に行ってきました。 「本島見えてきました。建物もいくつか見えて、思ったよりも大きい島です」 丸亀港からフェリーで約30分。周囲約16キロ、約250人が暮らす本島です。今回向かうのは港のすぐ近くにある「海を休ませるレストラン」。 (森下花音アナウンサー) 「こんにちは。よろしくお願いします」 レストランを運営するのは漁師の大石一仁さん。料理に使うのは市場で価値のない魚、未利用魚です。 (森下花音アナウンサー) 「これは何の種類?」 (大石一仁さん) 「カサゴとビングシ。今は旬を外している」 時期を外したビングシに、カサゴ。ほかにも大きすぎるムール貝や小さすぎるタイなど、サイズの問題で未利用魚になるものも。漁の時に網に引っかかるなどして意図せず獲れてしまうということですが、実はいま、世界の全漁獲量のうち約35%が未利用魚となってしまっているのです。 一方で、瀬戸内海で取れる魚の量は、海の栄養分が不足していることなどからここ40年ほどで3分の1以下に激減。大石さんはもったいないを解消しようと3月、妻のゆうきさんとともに未利用魚を使ったレストランをオープンしました。 (大石一仁さん) 「おまたせしました」 (森下花音アナウンサー) 「ありがとうございます。すごい豪華ですね」 ランチで頂けるのは、瀬戸内海でとれたタイなどが贅沢にのった丼。そして未利用魚の煮つけに塩焼きです。旬の時期でないため市場価値がないというカサゴですが。 (森下花音アナウンサー) 「身に透明感がある。おいしい。魚の本来のうま味を感じる」 (大石一仁さん) 「旬を逃しているので、魚本来の味が僕ら漁師からしたら薄い。そこはしょうゆや調味料で工夫している」 味付けを工夫することで未利用魚も絶品料理に。 (大石一仁さん) 「なぜ未利用魚の価値を復活させなくてはいけないか、本質をお客さんに伝えている」 訪れた客に、魚が減り漁業が低迷している現状を伝えることで、環境について考えるきっかけ作りもしているという大石さん。 (大石一仁さん) 「昔のような瀬戸内海の海が豊かになる環境づくりを、漁師だけでなく、みんなで一緒に良くしていけたら」 豊かな瀬戸内海を次の世代に残したい。未利用魚を使ったレストランには若き漁師の熱い思いが込められています。
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