テスラ、マスク氏の巨額報酬巡り原告株主の主張に反論
(ブルームバーグ): 米電気自動車(EV)メーカーのテスラからイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に付与された高額報酬を無効とする裁判所命令を勝ち取った株主が、デラウェア州以外で同CEOがこの問題で提訴することを禁じるよう求めていることについて、テスラ側の弁護士は早計な行動だと批判し、申し立てに応じないよう裁判長に求めた。
テスラの弁護士の1人であるジョン・リード氏は25日にデラウェア州衡平法裁判所に提出した書類で、同社がテキサス州への法人登記移転および無効になったマスク氏の報酬の再承認を支持するよう株主に求めていることを巡り、株主のリチャード・トルネッタ氏が誤った情報を流していると主張した。テスラは6月13日に開催する年次株主総会で株主投票を行う。
トルネッタ氏は、マスク氏の560億ドル(約8兆7500億円)に上る報酬パッケージが行き過ぎだとして、デラウェア州の裁判所に申し立てを行い、1月に同裁判所のキャサリーン・マコーミック裁判長が報酬を無効にする判断を下した。その後、マスク氏は、デラウェア州からテキサス州へのテスラ本社移転を検討する意向を示している。
リード氏はマコーミック裁判長への書簡で、テキサス州や他のどの地域でも、報酬を巡る訴訟を再び起こすことを目的とした行動の予定はないと説明。テキサス州への法人登記移転およびマスク氏報酬の再承認を巡るテスラ株主の判断にトルネッタ氏の弁護士らが影響を及ぼそうとしている可能性があると主張した。
リード氏はさらに、年次株主総会での株主投票に不当な影響を与える可能性があるため、トルネッタ氏の要請には公に回答しないよう同裁判長に求めた。
トルネッタ氏の弁護士の1人、グレッグ・バラロ氏に、テスラの提出書類について電子メールでコメントを求めたが、すぐに回答がなかった。
テスラがテキサス州に法人登記を移転し、取締役会がそこでマスク氏の報酬を承認した場合、報酬問題はテキサス州法の下で新たな訴訟で争われると推定される。