小森隼と陣が全力で感情ぶつけ合い! 客席は落涙 舞台『芸人交換日記』開幕
小森隼(GENERATIONS)と陣(THE RAMPAGE)がお笑いコンビを演じる舞台『芸人交換日記』が2月20日、麹町のTOKYO FMホールで初日を迎えた。 舞台『芸人交換日記』公開ゲネプロの様子 放送作家の鈴木おさむによる小説『芸人交換日記~イエローハーツの物語~』を舞台化した。お笑いコンビのイエローハーツの田中と甲本を軸にしたストーリーで、お笑いの世界に飛び込んで11年が経とうとするもまったくブレイクできずにいるなかで、甲本の発案で、お互いの思いを言い合おうと交換日記をなし崩し的に開始。後輩たちに追い抜かれて行く状況について思うこと、自分たちのネタ、お金、互いへの不満など2人が抱えている問題が噴き出す。岐路に立った2人は一念発起、自分たちの良さを発揮できるネタでコンテストに挑むが……。 初日公演を控えて公開ゲネプロが行われた。横に広い舞台の中心に置かれたポストを通じて、読んでは書いて渡し、受け取って読んで返事を書くという行動を繰り返して交換日記を続けて、お互いの思いを伝えていく。熱い甲本と低音の田中のやり取りは最初こそ淡泊だったが、徐々にエモーショナルに、観客の心を揺さぶる。 中盤をすぎると、甲本と田中の長い独白のシーンも。届くか届かないのか互いに分からないままに吐露する思いに、そっと目元を拭う観客の姿も多く見られた。
終了後、小森、陣、そして甲本の恋人久美と黄染を演じるアンジェリーナ1/3(Gacharic Spin)、そして舞台の企画・脚本・演出を担当した鈴木おさむが揃って取材に対応。 小森と陣は、本公演以前に、朗読劇で『芸人交換日記』を経験済み。 小森は、「稽古場では感じられなかった田中の気持ちに気づくことができました。1月末から3人で力を合わせて稽古をやってきたんですけど、まだまだ気づくことがいっぱいあるなと思って。残りの公演で僕の知らない田中に出会えると思う」と笑顔。 陣は「以前、この作品を朗読劇で読ませていただいて、すごく胸を打たれるところがあった」としたうえで、「THE RAMPAGEというグループの中で日々起きる人間模様とかもあるし、THE RAMPAGEの世界線がもしかしたらこうなってたかもしれない、こうなるかもしれないといったことも感じながら、甲本という役をやらせていただいています。感情的になる部分もあったりするんですけれども、そういう事ってグループだけではなく、(舞台を)見ている人たちも仕事だったり学校だったりとかで立ち会うことがあると思う。見てくれた人たちのなかに何かこの作品が心に残ったらいいなという思いで全力で演じさせていただきました」と話した。 鈴木は3月31日で放送作家・脚本業からの引退を発表しており、本作がその最後の舞台公演となる。2011年に、お笑いコンビ・オードリーの若林正恭、俳優の田中圭と伊勢佳世とで上演したこの作品を「辞める前にどうしてもやっておきたかった」とそうで、「隼と陣は朗読劇でこの物語をやったことがあり、機会があるんだったらお芝居でやりたいと前から言っていたので、アンジェリーナの力も借りて、上演しようと決めました」と上演理由を説明した。 小森も陣もラジオ番組などを通じて鈴木と長い時間を過ごしてきた。 小森は、「自分が22とかの時、GENERATIONSのなかで小森隼が今後どういうふうに成長していくのか、どういう色をつけて、どんな道を歩んでいけばいいのか考えていて悩んでいて、GENERATIONSという道も自分にはないんじゃないかと悩んでいた時期におさむさんに出会いました。それから僕は、師匠と呼ばせていただくぐらい、たくさんのことをおさむさんに教えていただきました。今の自分があるのは導いていただいたから」 さらに「今までおさむさんにほめられたくて一生懸命頑張ってきた自分もある」と続け、「もしかすると表に立つ自分でおさむさんと関われるのは最後になるんじゃないかと思うと、寂しさもあるし、最後の最後にやっぱり大きな丸をつけたいなと思う自分の決心みたいなのもあります。プレッシャーがなかったかと言われると嘘にはなるんですけど、それ以上に今まで教えていただいた全てを返せるように頑張りたいなって気持ちです。振り返った時にあの舞台が良かったよ!って言っていただけるように」と、やる気。 陣も「たくさんのものを一人でも多くの方に届けられるように。あと噛まないように気をつけたい」と意気込んだ。 舞台は25日まで続く。 小森は「いろんなことに悩んでいる方、日々の中ですごくいろんな選択に追われてる方がいると思うんですけど、それは僕も同じ。何か選択をしながら正解だったのか間違ってたのかと後悔することもたくさんあると思います。その分岐点に立ってる皆さんに少しでも一歩前に進む勇気を与えられれば、一緒に手をつなぎながら一歩前に進めたらという思いを込めて全力で演じさせていただきます」 陣も「この作品を見終わった後、隣りの人と抱きしめ合いたいというか、そういう気持ちにきっとなってくれるんじゃないかと思います。隣りの人にありがとうとかそういう言葉が皆さんから出るように、自分たちも心から一言一言紡ぎながら演じていきたいなと思います。世の中を少しでも元気に明るく生きがいのあるものにできるように精一杯頑張りたい」 「この作品にすごく生きる活力をもらっています」と、アンジェリーナ1/3。「自分の夢の原点を回収しに行けるような作品に携われて幸せ。この想いをたくさんの人に届けていきたいです。公演に来てくださる皆さんも配信を見てくださる皆さんも誰一人離さない!しっかり抱きしめて、イエローハーツの物語を、これから先もずっと続けられるよう、素敵な舞台にしていけるように頑張りたい」と話していた。 鈴木は、通し稽古を見て「令和の今届けるべき物語になったし、そういうお芝居なのかなと思う」と確信したという。 「細かい芝居うんぬんよりも本人の中にあるものを出すというのが一番いい。今日見てやはり、隼演じる田中のネチネチした部分は小森隼そのもので、陣演じる甲本の惨めさや悲しさは見事で自分の中にあるからできたんだと思います。この物語は、辞めるとか夢を諦めるということが一つのテーマ。40歳ぐらいの時に書いたんですけど、10年前に書いた物語を見て自分が辞めていくなんて、こんな幸せなことはないと感じています。この3人に送り出していただいていることに対してすごく感謝しますし、この物語をぜひたくさんの人に目に焼き付けていただきたい」と話していた。