【若松のごみ問題】踏み込んだ対策が必要(11月28日)
会津若松市が「ごみ緊急事態宣言」を発令して半年がたつ。ごみの減量化に向け、市民に協力を求めてきたが、目標としている削減量には至っていないのが現状だ。目標が達成できない場合、ごみ処理の有料化も視野に入れている。今後の動向を注視したい。 市が緊急事態を宣言した背景には、会津若松地方広域市町村圏整備組合が2026(令和8)年3月に供用開始を予定している新たなごみ焼却施設の処理能力がある。全体のごみ処理量は1日当たり196トンで、現行の焼却施設の225トンを13%下回る。組合加盟の10市町村で燃やせるごみを削減しなければ、焼却機能が追い付かず、市民生活に支障を来す可能性がある。 組合は、国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来人口の推移などを基に人口減少に見合った数値に設定したとしている。実際の排出量とかけ離れた計画は「市民の協力ありき」の感が否めないが、会津若松市の1人1日当たりの生活系ごみ排出量が同規模自治体(人口10万人~50万人)の中でワースト4位である点を踏まえれば、削減の余地はあると言える。
市は燃やせるごみの排出量を前年同期比で12%以上減らすことを目標に掲げる。市長が先頭に立って街頭啓発やシンポジウム、出前講座などに取り組み、家庭での生ごみの減量やリユース・リサイクル、事業所での食品ロス対策などを求めてきた。9月は前年同期比4・8%減、10月は6・2%減と減少傾向にはあるが、目標には程遠い。 市によると、家庭から出る燃やせるごみのうち51・3%が生ごみで、19・3%が資源物となっている。今後は、生ごみの水切り袋を全戸配布したり、分別に使うグッズなどを提供したりと一歩踏み込んだ対策が求められるのではないか。会津若松市は県内を代表する観光地でもあり、食事を出す宿泊施設や飲食店の一層の協力も欠かせないだろう。 市は9月から11月までの実績を踏まえ、ごみ処理を有料化するかどうかを判断する。ただ、有料化したとしても、排出量の抑制に結び付くとは限らない。県内の自治体の中には、有料化後に排出量が増えたという事例もある。市民や事業者と手を携えながら、粘り強く減量化を進めていく必要がある。(紺野正人)