専門家「関係改善は厳しくなる」演説から読み解く中台関係 台湾新総統に頼清徳氏
台湾の新たな総統に民進党の頼清徳氏(64)が就任しました。かつては、自らを「台湾独立の工作者」と表現したこともありますが、20日の演説では「中国の脅威から台湾を守る」と宣言。早速、中国側は反発を強めています。
■警戒感も 対中関係は“現状維持”
新たな4年の始まりです。宣誓は孫文の肖像画の前で行われます。 台湾 頼清徳新総統 「私は必ず憲法を遵守し、職務に尽くし、人民の福利を増進し、国家を守り、国民の期待を裏切りません」 先の選挙で選ばれた、医師であり元台南市長でもある頼清徳総統。中国と距離を置き、親米路線を掲げる民進党が政権を担うのは、これで3期連続となります。演説で強調した中国との関係は、蔡英文政権の踏襲「現状維持」でした。 台湾 頼清徳新総統 「傲慢でもなく卑屈でもない、現状を維持します。(1)国防の力を強化、(2)経済安全を構築、(3)台湾・中国の両岸におけるリーダーシップの発揮、(4)世界との価値観外交を推進し平和共同体を形成。抑止力を発揮し、戦争を回避し、実力で平和の目標を達成すべきです」 そして世界にも訴えかけました。 台湾 頼清徳新総統 「中国の軍事行為と脅迫は、全世界の平和と安定を脅かす最大の戦略的挑戦だと思われています。台湾は世界の地政学に影響を与えています。台湾海峡の平和と安定が、世界の安全と繁栄につながるのです」 その中国。不快感の表れなのか、戦闘機を防空識別圏に進入させ、軍艦を周辺海域に展開させました。 中国外務省 汪文斌副報道局長 「台湾独立は破滅の道だと、私はここで強調したい。どんな看板を持ち出し、どんな主義を掲げても、分裂を推し進めることは必ず失敗します」
■「台湾が民主世界のMVPに」
頼清徳総統は中国に対して強い表現で警戒感を示す一方、世界における台湾の位置付けはこのように表現しました。 台湾 頼清徳新総統 「台湾はアジアで初めて同性婚を合法化した国家。民主指数、自由度はアジアでのランキングはトップ1、2の評価。民主主義の台湾は世界の光となった。この栄光は台湾全人民のもの。台湾が民主世界のMVPになる」 経済に関しては…。 台湾 頼清徳新総統 「台湾は『経済の太陽が沈まない国』になる能力を持っています。台湾人民は、より豊かな生活ができるようになります」 20日の就任式には約2万人が参加しています。祝福ムードではありますが、頼清徳総統を取り巻く状況が順風なわけではありません。例えば19日は、民進党の本部が入るビルの前で、数千人単位の野党の抗議集会が開かれました。新総統就任式の前日にこういった抗議集会が行われるのは異例です。 大学生 「与党は野党とよく話し合うこと。意見を聞き、互いに協力する。反対のための反対をしないこと」