埼玉県立高校の共学化 県教委は在校生や保護者、卒業生から意見聞く 世代間で異なる意見 賛否白熱、最適解はどこに
埼玉県の県男女共同参画苦情処理委員の「男女別学の県立高校は早期に共学化されるべき」との勧告を受けて県教育委員会は今年に入り、学校の在校生や保護者、卒業生らから意見を聞き、県民にアンケートを募った。結果は世代によって「共学化反対」「どちらでもよい」「進学するなら共学」などと分かれる形に。難題に、県教委はどう最適解を導き出すだろうか。 県立高校の共学化に反対 高校生有志らが県教委に3万4461人分の署名提出 「女子校に来て救われた」「女子がいると自分を包み隠してしまう」
1月27日、浦和高校で開かれた意見聴取会で反対や勧告への疑問の声が噴出した。OBの一人は「公立高校で別学校があってもいい。逆にそれが埼玉の教育の多様性を示す全国に誇れるものではないか」と訴えた。 7月23日には県立高校生の有志らが共学化反対の署名約3万4400人分などを県教委に提出。生徒たちは「公立で別学の選択肢が確保されていれば、多様性のある社会の貢献になる」「中学校で少し嫌な経験があったが、女子校に来て救われた。この未来をこれからの中学生にもなくしてほしくない」と訴えた。 県教委は4~5月に県内在住・在学の中高生と保護者を対象に、記名アンケートを実施し、7月に結果を公表した。約7万件の回答のうち、高校生で共学化に反対は57%、賛成は7%で、33%は「どちらでもよい」と回答した。 一方、中学生は共学化について「どちらでもよい」としたのが56%で、回答の半数以上を占めた。共学化に反対は19%、賛成18%でほぼ同数となり、高校生との意識の違いが浮き彫りになった。
ただ、「共学・別学どちらの高校に進学したいか」の質問には56%が「共学校に行きたい」と回答。男子校希望は3%、女子校は3%で、25%は「どちらでもよい」と答えた。 共学化についての考えと、自らが進学する場合に明らかな違いが表れたが、日吉亨県教育長は7月26日の定例会見で「(回答の)比率は共学校と別学校の在籍生徒比率に対して、バランスが取れていると感じる」「共学校と別学校それぞれに一定のニーズがある」との認識を示した。 宮城県教委が1995年に県立男女別学校の共学化の検討を図る方針を示した当時の知事、浅野史郎氏は4月にさいたま市で講演した。 浅野氏は「税金で運営されている公立高校で別学は理屈に合わない。不合理だ」と指摘しつつ、宮城県は県教委が主体となって共学化を推進したとし、「教委が強い信念で進めた。私も『反対の声が大きくなったらやめましょう』は頭になかった」「埼玉県は別学を残すというなら信念を持ってやればいい」「決めるのは県教委だ」と覚悟を問うた。