製造は55年前、サビた車体に穴…ボロボロの愛車に乗り続ける理由 個性派オーナーの深い思い
クルマを手がかりにした聖地巡礼を楽しむ
そんなダットサン521トラックを手に入れたことで、有間さんには旧車ならではのもうひとつの楽しみが生まれる。それが聖地巡礼的なルーツ探しの旅だ。このダットサンは当時のままの姿で乗り続けているので、各部にはオリジナルのステッカーやペイントがそのまま残されている。それを手がかりにして昭和の時代にこのクルマがどんな働き方をしていたのか、どんなエリアで走っていたのかなどを知りたいと思い始めたのだった。 「ドアの内側には販売店のステッカーがすり切れずにかろうじて残っていたんです。その販売店の名前を手がかりに探したところ、なんと現存しているクルマ屋さんだと言うことがわかりました。かつてその販売店で新車としてこのクルマが納車されたと思うと感慨深いですよね。近々ダットサンを里帰りさせるドライブに出かけようと思っています」 さらにこのクルマは神奈川県の日産座間工場の近くで働いたことも過去のオーナーの情報からも少しずつわかってきた。さらにボディにはうっすらと「○林○」「自家用車」の文字が見えている。これはこのトラックを使っていた商店や工場の屋号が書かれていたはず。これを解読して、どんな働き方をしていたのかに思いをはせるのも楽しいと言う。 「もうひとつの趣味であるバイクを積んだり、荷物の運搬にも実用しているダットサンですが、ルーツ探しを楽しませてくれるのも旧車ならではですよね。ボディのステッカーなどをきれいに剥がしてしまったり、リペイントしたら手がりはすべて消えてしまっていたので、今になってみれば当時のコンディションのまま乗っていて良かったと思っています」と実感を込めた。
土田康弘