笑顔とAI(7月27日)
「はいチーズ」。夏の旅先で集合写真を撮る。出来上がった一枚は、どこかぎこちない。意識するほど、表情はなぜか硬くなる▼今月、スーパー大手イオンの一部店舗に「スマイルくん」と呼ばれる機械が導入された。出勤した店員が、画面を見ながら笑顔やあいさつを確認する。AI(人工知能)が表情や発声を基準に沿って評価する。目元や口元などのポイントごとに得点化されるため、日々の改善が可能という。点数に応じてレベルアップする仕掛けなどゲーム的な要素もあり、楽しみながら取り組める▼新型コロナ禍では、店員さんの表情がマスクに隠れて読み取れない日々が続いた。そっけないとの印象を与えてしまわないよう、「マスクの下は笑顔です」と張り紙を掲げた店もあった。長引く着マスクの「後遺症」により、店員の笑顔やあいさつが少なくなっているのでは。AIを導入した背景には、そんな思いもあった▼全国的に患者数が増えている。県内も定点医療機関当たりの感染者数が約4カ月ぶりに9・0を超えた。街角から笑顔が消えないよう、旅先でも、うがい、手洗いなどの予防を徹底したい。何より、この炎暑下で着マスクに逆戻りはつらい。<2024・7・27>