【大学野球】“秋日本一”の立役者となった2年生 慶大右腕・外丸東眞が神宮で披露した『宮島さん』
真骨頂は「低めに丁寧に」
[明治神宮大会大学の部・決勝] 11月20日(神宮) 慶大2-0青学大 中1日での先発。慶大の右腕・外丸東眞(2年・前橋育英高)には「経験値」があった。 東京六大学秋季リーグ戦。85年ぶりのリーグ4連覇を目指した明大とのカードで、外丸は1回戦で2失点完投勝利を挙げると、勝ち点をかけた中1日の3回戦では5安打完封勝利を収めた。勝ち点勝負(2勝先勝)でリーグ優勝がかかった伝統の早慶戦でも1回戦で7回1失点と試合を作ると、1勝1敗で迎えた3回戦では7回途中2失点で勝利投手となった。この秋は6勝無敗。4季ぶり40度目の天皇杯奪還の立役者となった。 「秋日本一」を狙った明治神宮大会でも、安定感は変わらなかった。慶大は今大会、2回戦から決勝まで3連戦の日程が組まれた。外丸は環太平洋大との2回戦で7回無失点(チームは7回コールド勝ち)。日体大との準決勝を突破し、青学大の決勝は中1日で先発した。 「リーグ戦でも1回戦よりも、3回戦のほうが、むしろコンディションは良いんです。不安、心配はありませんでした。疲れはそうでもなかった。いつもどおりの中1日でした」 ストレートは140キロ前後も、緩急自在の投球スタイルと、抜群の制球力で相手打線を封じる。バッテリーを組む宮崎恭輔(4年・国学院久我山高)の好リードもあり、青学大の強力打線を抑えた。慶大は8回表、相手ミスにより、ノーヒットで2点を先取。外丸はこのリードを守り切り、胴上げ投手となった。 リーグ戦では64回1/3を投げ、11四死球、27奪三振。この数字を見れば、外丸の投球スタイルが見えてくる。青学大との決勝では、大学における自己最多9奪三振で、5安打完封した。与えた四死球は死球1と、頂上決戦でもコントロールが乱れることはなかった。 「低めに丁寧に」。外丸の真骨頂である。
「初球ストライク」という約束事
6回裏二死一、二塁では中堅手・佐藤駿(3年・慶應義塾高)が好捕。また、7回裏二死二塁では一塁手・吉川海斗(4年・慶應義塾高)が一、二塁間を抜けそうな鋭い打球を横っ飛び。再三の好守備が、エースを支えた。 「信頼できる守備。それが、ストライクを先行できる要因かと思います」 最後の守り、9回表は三者連続三振で斬って見せた。報道陣から「狙ったのですか?」と問われると、「狙ってないです(笑)」とはにかんだ。そこでも、こう言ったのである。 「ストライク先行が、三振につながった」 慶大投手陣には、中根慎一郎助監督の指示の下で「初球ストライク」という約束事がある。投手優位のカウントへと持ち込むことで、ペースを握っていくのだ。 「決勝というプレッシャーのかかる舞台で自分のピッチングができたのは、自信になります。先発する以上は、勝ちにこだわる。(この秋は、リーグ戦を含めて8勝)無敗で終われたのは、評価できるポイントだと思います」