岸田政権を操る「電力マフィア」が焦りだした…「能登半島地震」でバレた「原発再稼働」避難計画のお粗末すぎる実態
地震で「潮目が変わった」
「電力マフィアの頭目」と綽名される嶋田隆首相秘書官(1982年旧通商産業省)と結託して岸田文雄政権を操り、政府のエネルギー政策を「脱原発」から「原発推進」に大転換させた経済産業省。 【写真】発生確率80%超…!? 次の巨大地震が襲う「大都市」の名前 ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油・天然ガス供給不安の高まりや、地球温暖化防止のための脱炭素化の取り組み強化にかこつけて、昨年には、60年超の運転容認など既存原発の再稼働推進や原発のリプレース(建て替え)を国の正式な方針に位置付けさせた。 村瀬佳史・資源エネルギー庁長官(1990年同)ら幹部は「フクイチ(東京電力福島第一原発)事故の呪縛からやっと解き放たれた」(資源エネルギー庁幹部)などと溜飲を下げていた。 だが、好事魔多しとはよく言ったもので、元日の能登半島地震をきっかけに、「原発復権路線」の旗色は急速に悪くなっている。北陸電力の志賀原発(石川県志賀町)は運転休止中だったことも幸いし重大なトラブルを免れたが、原発事故が起きた際の住民避難計画が機能しない代物であることが白日の下にさらされたからだ。
避難計画は「絵にかいた餅」
「原子力災害対策指針」では、重大事故の際、原発から半径5km圏内の住民は即座に避難し、5kmから30km圏内の住民は「屋内退避」が原則だ。 だが、能登半島地震では志賀原発周辺の広い範囲で土砂崩れにより道路が寸断された上、家屋・建物の倒壊が相次いだ。地震と原発事故の複合災害では、政府が想定する圏外避難も屋内退避も「絵にかいた餅」だと浮き彫りになった。 原子力規制委員会は「避難のあり方について外部の専門家も交えて議論する」というが、抜本的な指針の見直しは見送る方針だ。指針に欠陥があると認めてしまえば、圏外避難と屋内退避の組み合わせを前提に策定された各原発の避難計画が意味をなさなくなる。 福島事故を教訓に「推進」と「規制」を分離する目的で、国家行政組織法3条に基づく「政府から独立性の高い機関」として設立されたはずの原子力規制委が、すっかり経産省に取り込まれた様子には驚くばかりだが、立地住民に広がる原発不信は覆い隠せない。