「寂しい…もっとやりたかった」 2025年春に統合する小学校で最後の稲刈り 伝統への思い込め収穫
長野県の飯山市常盤小学校全校児童約60人は3日、学校近くの田んぼで稲刈りをした。同校は市内の泉台、戸狩、東の3校と来春に統合するため、40年前から続くという恒例の行事は今年が最後となる。子どもたちは思いを込めて、豊かに実ったもち米を収穫した。 【写真】「これほどきれいだとは…」と棚田での朝食に感激
住民から借りた約千平方メートルの田んぼで田植えをしたのが6月。この日は地元住民のボランティアも手助けに訪れ、協力して作業した。手慣れた様子の上級生は鎌を稲の根元に当て、次々に刈り取った。下級生にも鎌の持ち方から丁寧に教え、「いいじゃん、上手」と優しく見守った。 一帯の水田開発は、江戸時代に飯山藩主・松平忠倶(ただとも)の命で長野、新潟県境の関田山脈の水源から水を引いて用水路「平(たいら)用水」を整備したのが始まり。児童は米作りを通じて地域の歴史も学んできた。 6年生の伊藤あんりさん(12)は最後の稲刈りに「寂しいな。もっとやりたかった」。収穫したもち米は、おはぎなどにする予定で「しっかり味わって食べたい」と話した。手伝った農業平野弘蔵さん(66)は「学校が統合されても、常盤での米作りを思い出してほしい」と願っていた。