出発式後、報道陣の取材に応じる（左から）豊田章男会長、岡田政道社長、影山剛士湖西市長＝1日午前、同市新居町のトヨタバッテリー新居工場

　トヨタ自動車は1日、湖西市に本社を置く車載用電池製造の子会社「プライムアースEVエナジー（PEVE）」の社名を「トヨタバッテリー」に変更した。今年2月に稼働を開始した同市新居町の新居工場に地元関係者や従業員ら約100人を招き、出発式を行った。トヨタの豊田章男会長は、同市出身のトヨタグループ創始者・豊田佐吉（1867～1930年）が大正時代に描いた蓄電池開発の構想に触れ、「いつかこの湖西の地で佐吉が夢見た電池を実現したい」とあいさつした。 　PEVEは96年にトヨタとパナソニックホールディングスが共同出資で設立し、今年3月にトヨタが全株式を取得した。式典後、章男会長は報道陣の取材に同社の完全子会社化と社名変更について「トヨタが電動化に向け全ての要素技術、部品を内製化するという大宣言だ」と意義を強調した。 　佐吉の古里の同市でトヨタの名前が付く工場が設置されるのは初めて。岡田政道社長は式典で「湖西の皆さまにさすがトヨタの会社だと言ってもらえるよう努力する」と述べ、「（脱炭素に向けたトヨタの）全方位戦略を電池の力で支えたい」と意気込んだ。 　同社の新居工場は現在、2月に稼働を開始した第1工場で北米向けのハイブリッド車（HV）用電池を年間21万台分生産している。25年には同規模の第2工場が完成し、26年には同社初となる電気自動車（EV）用電池を製造する第3工場も生産を開始する予定。（湖西支局・杉崎素子）