女性活躍推進へ 福島県が初の企業アンケート 「産休・育休支援難しい」4割 重要性認識、悩む現場
福島県が初めて実施した女性活躍に関する企業アンケートで、回答した企業の4割が女性活躍を推進する上で「産休・育休の際の要員確保や支援体制づくりが難しい」と感じている。女性採用の今後の意向については「ない」「あまりない」「どちらともいえない」との回答が合わせて4割あり、「担当できる仕事が限られる」などを理由にした。女性の県外流出が人口減少の要因となり、女性の県内定着が課題となる中、有識者は女性が活躍できる職場環境の整備と企業の意識改革が必要と指摘している。 4日、福島市で開かれた県地域創生・人口減少対策有識者会議で県が示した。主な結果は【グラフ】の通り。女性活躍の課題に関する回答は「出産や育児で長期休業したときの代替要因の確保やサポート体制づくりが難しい」が41・3%で最も多く、「女性を採用したいが応募が少ない、またはない」が21・0%、「性別による固定的な役割分担意識が強い」が19・1%などと続いた。
30代以下の女性の採用意向について「ない」「あまりない」「どちらともいえない」と答えた企業は計40・3%だった。採用を増やしたいと思わない理由として、女性が担当できる仕事が限られていることや出産・育児に伴う代替要員の確保の困難さ、結婚・出産による退職の可能性などを挙げた。 結果を踏まえ、県は企業や団体と連携して女性や若者の視点に立った職場環境の整備などを進める。詳細は今後詰めるが、来年度以降の次期「ふくしま創生総合戦略」に盛り込み、施策を充実させる方針だ。年内に人口ビジョンを更新し、意見公募などを経て総合戦略を作成する。 有識者会議の委員からは、企業だけではなく消防団や自治会などでも女性の活躍が進んでいないとの指摘があった。「経営陣の意識を変えないと10年後も同じ結果になる。直接的なアプローチが必要だ」「(出産や育児で)休まれたら成り立たないとの現場の声を聞く。女性を採用する利点を丁寧に正しく伝えていくべきだ」などの意見も出た。
ただ、比較的規模の小さな企業からは、女性活躍の重要性を認識していても実現は難しいとの切実な声が上がる。いわき市でサービス業を営む男性経営者は「(人員が限られる中)企業にとって長期離脱のリスクが少ない人を採用する流れにどうしてもなってしまう」と現状を明かす。 アンケートは女性の県外流出が深刻な福島県の現状を把握しようと実施した。従業員10人以上の企業2千社に郵送し、840社から回答を得た。