明大・宗山

　広島は11日、広島市南区の球団事務所でスカウト会議を開き、今月24日のドラフト会議で明大・宗山塁内野手（21）を1位指名すると公表した。地元広島県三次市出身のスター候補。走攻守…三拍子そろい、世代No・1遊撃手の世評を得る。他球団との競合は必至で、新井貴浩監督（47）がクジ引きに臨む予定だ。事前公表は3年連続で、2年連続12球団最速となった。 　約2時間に及んだスカウト会議。明大・宗山の1位指名を公表した田村恵スカウト部長（48）は「アマチュア球界No・1の即戦力内野手。打撃、守備、走塁、全てのレベルが高く、純粋に今年の対象選手の中で一番高く評価した。カープとしての誠意を見せる意味でも、この段階で発表ということにした」と説明した。 　宗山は、地元広島県三次市出身。右投げ左打ちの内野手で、小学6年時に広島東洋カープジュニアでプレーした経歴を持つ。広陵高から明大に進み、1年春に正遊撃手として台頭。持ち前のミート力で広角にはじき返し、2年春に打率・429で首位打者を獲得。今秋にはリーグ史上34人目の通算100安打、通算10本塁打を達成した。 　さらに高い世評を得るのが守備力だ。遠投110メートルの強肩から繰り出す送球には安定感があり、柔らかなグラブさばき、ハンドリングとも逸品。欧州代表との強化試合で侍ジャパンに初選出された3月には、井端監督をして「姿に華があり、能力が高い。一番はスローイングがいいこと。（西武）源田に似ている」と言わしめた。 　チームでは今季、強肩と堅守を武器に矢野が遊撃手として台頭し、名手・菊池と二遊間を組んだ。三塁には侍ジャパン常連になりつつある小園もいる。大学1年から宗山を追う尾形佳紀スカウト（46）は「（地元出身の）スター選手がやっぱり欲しい。宗山は全てに華がある。今いるメンバーとも勝負できる」と強調した。 　宗山を巡っては日本ハム、ソフトバンクも熱視線を送っていると伝わり、ドラフト会議で1位指名が重複するのは必至だ。田村スカウト部長は「あのレベルの選手だし、その可能性は高い。そこはもう新井監督に託し、（クジ引き抽選で）当ててくれることを信じている」と語った。 　12球団最速で青学大・常広の1位指名を事前に公表した昨秋は、初抽選に臨んだ新井監督が楽天と競合した末に当たりクジを引き当てた。2年連続なるか。運命の24日に注目だ。（江尾　卓也） 　○…広島がドラフト最上位で大学生内野手を指名すれば、1988年の野村謙二郎（駒大）以来になる。野村以降に獲得した大学生の1位野手は、90年瀬戸輝信（捕手、法大）、91年町田公二郎（外野手、専大）、2008年岩本貴裕（外野手、亜大）、14年野間峻祥（外野手、中部学院大）の4人。瀬戸、町田、野間は大学生投手を他球団との競合で外し、外れ1位での指名だった。 　◇宗山　塁（むねやま・るい）2003年（平15）2月27日生まれ、広島県三次市出身の21歳。三良坂小1年で野球を始め、三良坂中では軟式の高陽スカイバンズでプレー。広陵（広島）では1年夏、2年春に甲子園出場。明大では1年春からリーグ戦に出場し、4年秋の慶大戦でリーグ史上34人目の通算100安打を達成。侍ジャパンには大学2、3年時に大学代表。24年3月にトップチーム招集も、強化試合の欧州代表戦は骨折の影響で欠場。1メートル75、78キロ。右投げ左打ち。