日本社債とサムライ債、24年度も高水準の発行継続へ-証券5社展望
(ブルームバーグ): 日本銀行の金融政策にかかわらず、2024年度も日本企業の社債と海外発行体による円建て債(サムライ債)の発行は好調に推移すると、国内大手証券会社は予測している。
ブルームバーグのデータによると、23年度これまでに発行された国内社債とサムライ債は総額16兆6000億円と、年度ベースで既に過去最高に達した。ブルームバーグが国内大手証券5社を対象に実施したアンケートによれば、24年度も15兆5000億-17兆6000億円程度と高水準での発行が続く見通しだ。
日銀が3月か4月に07年以来となる利上げに踏み切るとの観測が広がる中でも、市場金利は円建て債への需要がなお旺盛であることを示している。債券市場が比較的落ち着いているため、ブルームバーグの社債スプレッド(上乗せ金利)指数は52ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、22年9月以来の低水準まで縮小した。
各社の回答によると、依然として低い借り入れコストや、電力会社の借り換えニーズ、大型の企業合併・買収(M&A)に伴う資金調達などが、今後の社債発行を促す要因になりそうだ。
野村証券の河田寿キャピタル・マーケット部DCMグループ次長は、マイナス金利の解除は市場である程度織り込まれているとし、それだけなら「起債市場への大きな影響はない」とみる。4-6月期は再び発行量が増えると見込まれるため、スプレッドのタイト化は一服するとした上で、「発行条件を悪化させてまで調達を優先するとも考えにくく、ワイド化は限定的」だとの考えを示した。
ブルームバーグの13日時点のデータによると、23年度これまでの国内社債発行額は14兆9000億円、サムライ債は1兆7000億円。アンケートでは記録的な発行額となった理由として、金利先高観がある中で駆け込み的な起債が増えたことや、銀行セクターから自己資本を増強するための永久劣後(AT1)債の発行が相次いだことが挙がった。