円が対ドルで152円台に下落、トレーダー警戒の介入レベルに突入
(ブルームバーグ): 10日のニューヨーク外国為替市場で円相場が1ドル=152円台に下落し、約34年ぶりの安値を更新。朝方発表の3月米消費者物価指数(CPI)統計に反応した。日米の金利差を意識した円売り・ドル買いが止まらず、トレーダーが警戒する為替介入レベルに突入した。
3月の米CPI統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が3カ月連続で市場予想を上回る伸びとなった。インフレ圧力の根強さを示唆しており、今年見込まれている米利下げ開始が後ずれする可能性がある。
米コアCPI、3カ月連続で上振れ-米利下げ後ずれの可能性
モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏は、「CPIが3カ月連続で予想を上回ったことで、6月の利下げにとどめを刺したかもしれないが、2024年の利下げが2回になるのか、あるいはそれよりも少なくなるのかはまだ分からない」と述べた。
プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏は「3カ月連続で強い数字となったことは、ディスインフレ停滞シナリオがもはや一過性のものではなくなった可能性を意味する」と指摘。「来月にインフレがより良好な数字に下がったとしても、米金融当局内には十分な警戒感があるとみられ、7月利下げも難しいかもしれない」と語った。
円相場は一時1ドル=152円70銭まで下落し、3月27日に付けた1990年7月以来の安値(151円97銭)を下回った。152円を抜けたため、オプションに絡む取引などで円安・ドル高がさらに加速し、日本の通貨当局が円買い介入に踏み切ることへの警戒感が高まっている。
円安は行き過ぎ、いつ介入に動いてもおかしくない-中尾元財務官
日本銀行がマイナス金利政策の解除などを決めた3月19日以降、市場では円売り・ドル買いが進んでいる。日銀が今後も緩和的な金融環境を維持する姿勢を示す一方、米国ではインフレ鈍化の進展が滞っていることや労働市場の堅調さから年内の利下げ回数が3回を下回る可能性が意識され、米国との金利差は縮まらないとの見方が広がっているためだ。