国内初、二俣瀬に国産トウモロコシの飼料工場「高度利用化センター」完工【宇部】
農業生産法人あぐりんく(伊藤英穂代表)が宇部市二俣瀬山中の敷地内に建設を進めていた「やまぐち国産飼料用トウモロコシ高度利用化センター」の完工式が4日、同所で行われた。関係者80人が国内初となる国産飼料用トウモロコシを原料とする飼料工場の完成を祝った。 同センターの建設は、同法人と宇部市、山口市の耕種・畜産農家、小売り・飲食事業者で構成する山口市子実コーン地域内循環型生産・出荷協議会(工藤正直会長)が連携したプロジェクト。地域産飼料の安定供給を実現するとともに、飼育を通じて畜産物の付加価値を高め、消費拡大につなげるのが狙い。 利益率が高く、他の園芸用作物より手間のかからない飼料用トウモロコシの生産を地域内で広げることで、耕作放棄地の減少、生産者の所得向上も期待される。 事業費は約4億円。2021年度の農林水産業みらい基金助成事業に採択され、22年度に必要な農作業機械を購入。昨年11月から建屋の工事が行われていた。乾燥機2台、粉砕機1台、混合機1台を設置しており、現状の最大製造能力は年間868㌧。牛248頭を飼育できる量だという。 粉砕するトウモロコシの粒の大きさ、小麦、大麦などの配合量を変えることで、畜産農家の飼料ニーズに応えることができるのも特徴。17日から飼料の製造と出荷が本格的にスタート。初年度の製造量は200㌧で、5年後には360㌧を見込む。 式典では、同法人取締役でもある工藤会長が「センターの完成により、子実コーン協議会で掲げる真の地域内循環、地域内消費が可能になる。県全域を対象に事業を拡大し、生産から消費まですべての人が安心・安全で安定した食生活を送ることができる環境を地域につくり上げていきたい」とあいさつした。 来賓の篠﨑圭二市長は「畜産業で得られた堆肥をトウモロコシの生産に使用する循環型農業の実現も期待できる。耕作放棄地、就農者の確保など市の農業振興の課題を乗り越える拠点ができたことは、うれしく思う」と述べた。