来日した「黒豹と呼ばれた英雄」と「欧州チャンピオン」【大阪万博で出会ったワールドカップ得点王】(1)
■アポロ宇宙船が持ち帰った「月面の石」
さて、前回の大阪万博が開かれた1970年は、僕が高校3年生のときでした。 万博自体にも興味はありましたし、とくにアメリカ館に展示されている「月の石」は、ぜひ見てみたいと思いました。アメリカのアポロ宇宙船が持ち帰った月面の石のサンプルが展示されていたのです。 でも、そのためにわざわざ大阪まで行くのも億劫です……。 と迷っているとき、ポルトガルの強豪ベンフィカが来日するという発表がありました。 ベンフィカは、皆さんご承知のように、ポルトガルで最も人気の高いクラブ。とくに、注目は1966年のワールドカップ・イングランド大会の得点王エウゼビオです。モザンビークの首都ロレンソ・マルケス(現在のマプト)生まれのエウゼビオは、現地のスポルティングの下部組織で育ちましたが、両クラブ間の激しい争奪戦の結果、ベンフィカと契約。アフリカに広大な海外領土を持っていたポルトガルには、その他にも大勢のアフリカ系の選手がいました。
■レアル・マドリード「6連覇」を阻んで優勝
エウゼビオなど多数のアフリカ系選手を擁するポルトガル代表は、1966年ワールドカップで3位に入りました。また、ベンフィカは1961年にはヨーロッパ・チャンピオンズカップでレアル・マドリードの6連覇を阻んで優勝。1968年5月にウェンプリーで行われたチャンピオンズップ決勝では延長戦の末、マンチェスター・ユナイテッドに1対4で敗れたのですが、この試合は日本でもテレビ放映されたので(もちろん、生中継ではありません)、ベンフィカは当時の日本でも最も有名なクラブの一つでした。 そのベンフィカが来日するというのです。第1戦は神戸の御崎サッカー場(神戸市立中央球技場)、第2戦と第3戦は東京・国立競技場となっていました。当然、東京での2試合は見に行きますが、神戸の試合も見に行きたいと思いました。
後藤健生
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