中島健人は作品に“染まる”アイドル/俳優だ 『リビングの松永さん』で新たな魅力を発揮?
YOASOBIの「アイドル」を聴いていると、中島健人の顔が思い浮かぶことがある。無敵の笑顔でファンの心を掴み取っていく天才的なアイドル。どこを切り取っても、一番星のようにキラキラと輝いているような。近年はSNSの普及もあってか、等身大を武器にするアイドルが増えてきているため、ここまでストイックに完璧な姿を見せ続けてくれているアイドルは珍しいような気がする。 【写真】純金フレームの眼鏡を着用した中島健人らの撮り下ろしカット(複数あり) そんな中島が、20代最後の冬に主演を務めるドラマ『リビングの松永さん』(カンテレ・フジテレビ系)が、1月9日にスタートする。本作は、シェアハウスを舞台に繰り広げられるラブコメディ。中島は、恋に不器用なグラフィックデザイナー・松永純を演じる。近年は、映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)や『おまえの罪を自白しろ』(2023年)など硬派な作品に出演することが多かった中島。ラブコメディに出演するのは、『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)以来およそ2年半ぶりとなる。 予告を見るかぎり、松永はヒロインの美己(髙橋ひかる)を、とにかくよく怒っている。美己の母親から、“保護者”として美己を託されている責任感もあるのだろうか。「おい!」と叱咤しながらも、セカセカと世話を焼いてあげているような……ツンデレとはまた違った魅力が松永にはある。それにしても、年齢差12歳の松永と美己は、どのようにして恋に落ちていくのだろう。そもそも、本当に恋が芽生えるのだろうか? 現状は、お互いに恋愛対象として意識していない感じがするので、今後の展開が楽しみだ。 そして、ラブコメ作品の成功に欠かせないのが、“コメディ”の部分の面白さ。パーフェクトアイドルのイメージが強い中島だが、映画『ニセコイ』(2018年)ではコミカルな才能を開花させ、『彼女はキレイだった』でも視聴者をクスッと笑わせる演技を見せていた。ヒロインの一挙一動に振り回されてみたり、相手の気持ちを勘違いしてしまった照れ臭さ隠すように強がってみたり。「愛らしい」と思わせるような等身大の役柄もこなせるのは、中島自身にちょっぴり抜けている部分があるからだろうか。 これは、1月3日放送の『新春◎×部』(フジテレビ系)でババ抜き対決をしているのを見た時に感じたのだが、中島は端正なビジュアルで天然行動を繰り広げていくから面白い。キメ顔で次々とババを抜き、揃うのが当たり前なカードが揃っただけでドヤ顔をする。同番組に出演していた瀬戸康史が思わず笑い泣きしてしまったほどのバラエティ力。『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)内の人気企画『グルメチキンレース・ゴチになります!』のメンバーとして活躍していた時も、その天然っぷりでお茶の間に笑いを届けていた。 2009年放送のドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系)で、時刻表オタクのメガネ男子・児玉を演じていたのが中島だったと知った時、衝撃を受けたことを思い出す。おそらく彼は、作品に“染まる”アイドルであり、俳優なのだと思う。我を出しすぎず、素直に世界観に染まることができる。パフォーマンスをする時も、かわいい曲は思いきりキュートに、クールな曲はとことんカッコよく。求められているものを、惜しみなく出し切ることができるのが、彼の強みである。 3月31日をもってSexy Zoneから卒業することを発表した中島。新たな一歩を踏み出す瞬間に主演を務める『リビングの松永さん』は、彼にとってきっと大事な作品になるはずだ。
菜本かな