東大卒ママがが思う「地頭の良い子ども」とは?イギリスでの名門大学を訪れて痛感したこと
優秀大学に入っても幸せになれるわけではない。大切なのは?
小さな話にはなりますが、私自身(念願の東京大学に入学し、好きな仕事をして経済的にも精神的にも自立して生きています)を振り返ってみても、幼少時代に勉強ばかりするようなことはなく、自然の中で思いっきり遊んだり、家の手伝いをしたり、友達と自転車で遠出をしたりと、自由な青春時代を過ごしてきました。 また東大生がガリ勉ばかりではないこと、東大に入ったからと言って幸せな人生が約束されているわけではないことも実体験を通してわかってきたこともあります。 つまり幼少期の限られた時代に、子ども自身が望んでいるかわからない受験勉強ばかりに時間をかけることは、他のチャンスを失ってしまう可能性がある。それ以上に大切なのは、子ども本来の個性や才能を健やかに開花させ、地頭を良くするサポートをしてあげることだと私は考えるようになりました。 地頭が良いというのは明確な定義がありませんから、むしろ定義は人それぞれ違くてもいいと考えるべき。重要なのは、親自身が我が家らしい定義(目標)をイメージすること。 今回のイギリス旅、これまでの海外旅、世界の食育を探求していく中で、私は「子どもが主体的に生きることができ、挫折や失敗に負けることなく、自分の人生を肯定的に重ねていける能力のこと」だと考えるようになりました。
小学生の子ども自身が感じた大きな発見とは?
地頭を良くするためには親がどんなに努力をしても、子どもがついてこれない場合があります。 気をつけるべきは、親が子どもの成長レベルや個性を理解せずに、理想像を押しつけてしまうこと。楽しい旅を通じて、子ども本人が発見したことは、一生モノの気づきになります。 今回オックスフォード大学の広い学内を探索して、子ども本人が気づいたのは、勉強というものは国語、算数、理科、社会、英語という科目だけのものではないということです。 大学にはカッコいい図書館や博物館があり、本や歴史、芸術や音楽を楽しむことができる。自然の中で友人と思いっきり遊んだり、リラックスすることも重要だということ。ハリーポッターに登場する食堂を見て、食事の時間の大切さにも気がついたようです。息子がポツリと言いました。 「日本に帰ったら、ママやパパと一緒に料理をしたり、博物館にもっと行きたい!」 私は食育研究をする立場として、改めて食育の重要性をかみしめた瞬間でした。そして帰国したら、イギリス菓子を作ろうという約束も交わしました。 このように、地頭を良くするためには、勉強という固定概念をやわらげながら、日常のすぐそばに存在する食や遊びのあり方を見直してみることも有効でしょう。 まずは毎日やってくる食シーンに注目し、取り組み方を工夫していくことで、子どもの知恵や感性を育んでいくことができるのではないでしょうか? <文・撮影/スギアカツキ> 【スギアカツキ】 食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
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