農業と学習塾経営の“二刀流”大谷直人さんが作る「大谷米」本家の成績と共に爆売れ「能代の農業を盛り上げるきっかけに」
秋田・能代市で米を栽培している大谷直人さん(52)は、昨夏から「大谷米」の販売を開始した。ドジャースで2年連続3度目のMVPに輝いた大谷翔平投手の活躍にあやかり、地域活性化に一役買っている。住民の9割以上が大谷姓だという地区の名称は、23年WBC日本代表監督の栗山英樹さんと同じ「栗山」。今春に「大谷米」を栗山さんへ送ったところ、直筆の礼状が届いたという。 大谷さんは大谷翔平が活躍するにつれ、初対面の人から「同じ大谷さんですね」と言われることが増えた。栗山地区の人々も同じ経験をしていることが分かり「大谷選手にあやかって何か売れれば地域活性化になるかも」と考えた。 秋田で米はもらうもの、買う文化がほとんどなかったが、県外の友人から「秋田の米はおいしいイメージがある。売ってみれば」と背中を押された。昨夏に近隣の道の駅で「大谷米」を販売したところ、まずまず売れた。そして今年は、大谷の成績に比例するように売れ行きが爆発。史上初の「50―50」を達成した9月にはワイドショーでも取り上げられ、家族総出で梱包や発送作業に追われるほどだった。「驚いています。秋田みやげになると言っていただき、ありがたい限りです」と感謝した。 米の品種はあきたこまち。肥料を少なくして水の管理を徹底し「量よりも質を追求しています」と胸を張る。農業のかたわら能代市内で学習塾も経営しており、本家と同じ“二刀流”。週6日は授業を受け持つ多忙な日々を過ごすが「塾だけだとメンタル的に疲れますが、農業をやると気分が晴れるんですよ」と相乗効果があるという。 今春には栗山さんへ「大谷米」を送ったところ「日本の魂を農業で表現していってください」などと書かれた直筆の礼状が届いた。「感激しました。元気づけられましたね」。栗山地区の郵便番号は「016―0017」で、WBCでの大谷の背番号「16」、ドジャースでの「17」と一致するなど、どこまでも縁がある。米のラベルもドジャーブルーに似ているが、作成はエンゼルス在籍時の昨年だったため「これは偶然なんです」と苦笑いした。 ワールドシリーズ優勝の瞬間は「ちょうど(農作業の)昼休みだったのでバッチリ見られました」。地域は高齢化と人口減少が進むなど明るい話題が少ないだけに「リピーターのお客さんを増やして、能代の農業を盛り上げるきっかけになれれば」と意気込む。ネット通販でも購入可能な米には、大谷さんの愛情がこもっている。(岩崎 敦)
報知新聞社