3月20日は春分。笑顔溢れる「春分」の花束を手に【二十四節気とフローリスト】
古来から伝わる「二十四節気」は、春夏秋冬の季節を6つずつに分け、それぞれの期間に季節の変化を表す名前をつけたもの。気忙しい日々だからこそ、暦に合わせて咲く色とりどりの花から活力をチャージしたい。今回は春爛漫をイメージする花束を、東京・豪徳寺の「VEIN」に束ねてもらった 【写真】どの角度から見ても美しい「春分」の花束
春分 3月20日~4月3日
昼と夜の時間がほぼ等しくなり、太陽が真東から昇り、真西に沈む春分。春分を挟んだ前後7日間は先祖を敬う「彼岸会(ひがんえ)」と呼ばれている。天文学でも春分から夏至までが「春」。日本では桜前線を報じたり、雀が巣作りをはじめたりと、空を見上げることが多くなる時季。桜色に染まる街並みが楽しみな季節だ。 チューリップとグリーンベルの伸びやかさに、思わず笑顔が溢れる花束。アネモネ、ラナンキュラス、カレンデュラの春らしい繊細な花びらを持つ花を中心に、上品なフランスミモザがより春のムードを盛り上げる。紫色の小花・ギリアが小粋なアクセント。
のんびりとしたムードの世田谷線沿いにある「VEIN」。現在は週末限定でオープンしている。オープン日には近所の人だけでなく、遠方からも店主の山口香織さんのセンスを信頼する人が店を目掛けて訪れる。女性はもちろん、男性からの注文も多く、誕生日や記念日、プロポーズなど、大切な場面の彩りやお守りとして、VEINのブーケが選ばれている。 大きな白いのれんをくぐると、まるでヨーロッパの家にお呼ばれしたようなヴィンテージ感と温かみのある内装のショップに、山口さんの審美眼で選ばれた花が並ぶ。「絵画のような花束」と称されることが多いVEINのブーケ。ニュアンスカラーの花を中心に束ねるが、必ずブラックやパープルなどダークトーンの花を加えるようにしていると話す山口さん。そのちょっとしたこだわりが、ブーケに奥行きや上品さを添えている。 不定期開催のワークショップや別業態とのコラボなど、花にまつわる楽しいイベントも行うVEIN。自分の固定概念を覆す、思いがけない花や色の組み合わせを見つけられる、唯一無二の花屋だ。 VEIN ヴェイン 住所:東京都世田谷区赤堤1丁目8-15 Nsハイム 1F 電話番号:03-6823-4387 営業時間:13:00~17:00 定休日:月~金 ※現在は土日限定オープン。営業状況はインスタグラムにて。 参考文献:『花と短歌でめぐる 二十四節気 花のこよみ』株式会社KADOKAWA 『くらしのこよみ 七十二候の料理帖』平凡社 山下景子『二十四節気と七十二候の季節手帖』 成美堂出版 TEXT BY YURI TAKAHASHI