流れ星に願いをかけるのはなぜ? 小惑星・彗星から宇宙の謎にせまる
番組で三品は、小惑星について詳しく語った。小惑星や彗星などは、小さな岩や氷でできた天体やチリなどで、無数にあり、太陽の周りを回っている。ふつう小惑星とよばれているものは、岩石や金属でできた小天体を指す。一方の彗星は、小惑星と違い、表面が雪や泥のような蒸発する物質でできているため、太陽に近づくと、太陽の強い光などの影響で、表面が蒸発、チリやガスを出し始める。それが、ちょうど長い尾を作り、ほうきのように見えるという。 小惑星などが、以前から太陽系誕生の謎を解く鍵になる天体と言われてきた理由については次のように語った。 三品:太陽系誕生の頃、今から約46億年前ですが、原始太陽の周りのガスやチリが集まって、しだいに大きなかたまりとなり、やがて惑星のように大きな天体が生まれたと言われています。 箱崎みどり(ニッポン放送アナウンサー):この時に、地球もできたんですよね? 三品:その通りです。小惑星は、そのときに惑星になれずに残された天体と言われています。そのまま残ったというわけではないのですが、惑星などと比べると、熱などによる変化の度合いはわずかですので、太陽系初期の情報をたくさん残していると言われているわけです。 箱崎:できたままの姿を、比較的残しているだろう、というものが、小惑星なんですね。 さらに、三品は、生命起源の謎については以下のように語った。 三品:地球の海の水や生命の材料は、小惑星や彗星がもたらしたと考える説があります。 箱崎:小惑星から地球に、水や命の素が届いた、という。 三品:そういう説が有力になっています。 この説は、原始の地球に大量の小惑星や彗星が降り注いだ時期(後期重爆撃期)があり、その後まもなく地球上の生命が生まれていることや、ほかのさまざまな状況から、地球に水や生命の材料をもたらしたのは小惑星や彗星ではないかと言われているのだという。 小惑星や彗星の研究・探査の目的として、生命の起源を探るほかに、小惑星のような小天体の衝突から地球を守る「プラネタリーディフェンス」があるという。恐竜などが絶滅するきっかけとなったのは、小惑星の衝突だと言われているが、実は、同じような天体の衝突は、地球の歴史上何度も起きている。今後に備え、あらかじめ衝突しそうな天体の動きを調べて、危険な天体があった場合の対策を準備する、というのが「プラネタリーディフェンス」の考え方だ。 三品:2022年、NASAの「DART」という探査機が、目標としていた小惑星に体当たりして、小惑星の軌道を少しずらすという実験に成功しています。 箱崎:ぶつけて軌道をずらすっていう実験が、実際に成功しているんですね。 三品:その方法が、現在のところ、一番有効ではないかというふうに考えられています。衝突の可能性がありそうな、潜在的に危険な小惑星を「PHA」といい、現在見つかっている直径140m以上のPHAが、約2000個あります。 箱崎:ぶつかってきそうな危険な小惑星が、2000個以上も! 三品:幸い、発見されている「潜在的に危険な小惑星」の中では、この先100年から200年くらいは衝突の危険はないといわれていますが、まだ見つかっていないものや、140m以下の見つけにくい小惑星はたくさんあると考えられますので、つねに監視が必要ということになります。 このように、プラネタリーディフェンスの成果と現状についても語った三品。加えて、将来、小惑星を鉱物資源として利用しようという計画もあり、さらに、将来的には、想像もつかないような展開が待っている可能性にも言及した。
最後に、子どもたちに対して「子どものころに、星空を見たり、本を夢中で読んだりした楽しい経験の記憶は、その後の人生を豊かなものにしてくれると、わたしは信じています。ふだんは、下か水平方向にしか向けていてない頭を、数分間、空に向けるだけでも良いと思います。わたしの場合は、夜は星、昼間は雲の動きを眺めているだけで、気分が良いです」と呼びかけた。