Bloomberg

（ブルームバーグ）： 欧州の新車販売台数は５月、前年同月比2.6％減となった。電気自動車（ＥＶ）のより安価なモデルの発売まで買い控える動きが響いた。

欧州自動車工業会（ＡＣＥＡ）が20日発表した５月の新車登録台数は109万台。ＥＶは幾つかの主要市場での販売低迷で11％減となった。販売全体に占めるＥＶの割合も低下した。

高い借り入れコストと経済の低迷が消費者の購買意欲を圧迫している。これに加え、ＥＶに関しては依然として高い店頭価格と充電インフラの不足が消費者の購買意欲をそぎ、販売は低迷している。また欧州連合（ＥＵ）が今月、中国製ＥＶに追加関税を賦課すると発表したことで、代替輸入品の価格が上昇する恐れがある。

ハラルド・ヘンドリクス氏率いるシティグループのアナリストはリポートで、ＥＶに関する市場の想定は「楽観的過ぎる」とし、「投資を減らす必要がある」と指摘した。

ドイツやスウェーデンなどがＥＶ補助金制度を廃止ないし縮小したことから、高価格が欧州でのＥＶ普及の主な阻害要因となっている。 大衆車メーカーのフォルクスワーゲン（ＶＷ）とステランティス、ルノーは２万5000ユーロ（約425万円）前後の低価格モデルを準備しているが、発売は来年以降になる。

５月の欧州におけるＥＶ販売台数はドイツ、スウェーデン、ノルウェーなどの市場で２桁台の減少を記録。自動車販売台数に占めるＥＶの割合は１ポイント低下して14％となった。プラグインハイブリッド車の販売台数は9.6％減少した。

ＶＷとトヨタ自動車は５月に新車販売を伸ばした数少ない大手自動車メーカーで、それぞれ1.8％と8.2％の増加を記録した。

テスラの５月の新車販売は36％減と苦戦が続いている。同社の１－５月期の新車販売は前年同期を約14％下回っている。

ブルームバーグ・インテリジェンス（ＢＩ）のギリアン・デービス、マイク・ディーン両アナリストはリポートで、2020年後半以来、需要が供給を上回り続けているが、この傾向が逆転すれば「自動車生産が正常化し受注が減少する今年、業界にとって主要なリスクになる」と分析した。