【ライブレポート】iri、自身初の日本武道館公演を開催!「まだ、自分がここに立っていることが信じられていなくて、夢のよう」
■新曲「Run」もサプライズ初披露!バースデーサプライズの演出も iriが、3月13日に自身初となる東京・日本武道館公演『iri LIVE at 武道館』を行った。 【画像】日本武道館公演の様子(ライブ写真全6枚) 2017年のデビュー以来、躍動するグルーヴのなかで、自身の繊細な心の揺れを歌に昇華してきたiri。これまで6作のアルバムをコンスタントに発表し、確かな手応えとともにその時々の心情をリアルに投影しながら、ライブアーティストとしても会場規模のステップアップを重ね、着実に成長を遂げてきた彼女が20代最後の節目に辿り着いたのは日本武道館のステージ。 その初めての舞台を包み込むような客席はiriの作品にそれぞれの思いを投影しながら、真摯に音楽と向き合う彼女の活動の軌跡に立ち合ってきた満員のオーディエンスで埋め尽くされた。 そして、照明が落とされた場内にドラムのループするビートが響くと、ストロボライトの激しい瞬きの後に訪れた一瞬の暗闇のなか、ピンスポットがステージ中央に立つiriを照らし出し、80sマナーのエレクトリックソウルチューン「STARLIGHT」でライブは幕を開けた。 旧知の間柄であるキーボードの村岡夏彦とドラムの堀正輝をはじめ、マニュピレーション、エレクトロニクス全般を担うMop of Headのジョージ、ベーシストの村田シゲ(口ロロ)、ギターのTAIKING(Suchmos)からなるお馴染みのバンドメンバーを従え、「Sparkle」、「Corner」と続いた序盤は、きらびやかなシンセサイザーが最高な夜の高揚感をさらに高めるように広がった。 iriは「始まっちゃったんですけど…最後まで楽しんでいきましょう」と言葉にならない思いを飲み込んだまま、ゆったりしたテンポの「ナイトグルーヴ」、「半疑じゃない」から都会的な洗練をまとったダンスチューン「Watashi」、「渦」へと続く流れのなかで、武道館という大会場のグルーヴを確かめるようにつかんでいった。 この日は前半の映像、そして、iriの心模様を映し出すかのようなライティングの演出が素晴らしく、初期の楽曲である「Keepin’」からゴスペルのテイストを織り込んだ「Shade」に至る中盤セクションは、歌声に内包された光と影の美しいコントラストが際立っていた。 そのただなかで披露されたのがメランコリックなラップナンバーの「Telephone feat.5lack」。この日唯一のゲストである5lackが登場すると、彼のラップによって、iriの溢れ出すようなメロウネスにリアルな質感と心の奥底に染み渡るような深みがもたらされた。 その後のMCで「まだ、自分がここに立っていることが信じられていなくて、夢のよう」と語ったiri。 「デビューから今年で8年を迎えて、たくさんの人と一緒に曲を作ってきたんですけど、デビュー前は2曲くらいしかなかった持ち曲が気づいたら75曲くらいに増えていて、その事実に衝撃を受けました。1曲1曲にいろんな思い出があるんですけど、きっと、皆さんもこの曲を聴くとこれを思い出すとか、それぞれ感じてくださっているんじゃないかと思います。今日はそんなことを振り返ったりしながら、素敵な時間を過ごせたらうれしいです」と言葉を続けた。 そして、ギターを手に、曲に込められた思い出を噛みしめるように「はじまりの日」を歌うと、感極まり、涙を堪えながら、今年1月にリリースされたばかりのピアノバラード「hug」を披露。最新のモードを着こなす現代性と表裏一体のパーソナルな内面表現の普遍性もまた彼女の大きな魅力であることを再確認させれた。 ライブ終盤は武道館公演当日に緊急リリースされた「Run」でスタート。リキッドファンクスタイルのドラムンベースチューンとともにこの日を迎える思いを走らせたiriは、オーディエンスのハンドクラップが一体感を増した「24-25」から日本レコード協会の“ゴールド認定”を獲得した代表曲「Wonderland」へと駆け抜け、圧倒的な高揚感を放ちながら本編を完走。 再びバンドを伴って登場したアンコールはステディなテンポの「rhythm」でスタートすると、夢のような空間で心地良い日常のリズムを刻んだ。 そして、「みんなのおかげで自分の大好きな音楽を続けられています。本当にありがとうございます」と心からの感謝を気持ちを伝えた彼女を待っていたのはサプライズのバースデイ演出。 2日後に迎える30歳の節目を会場が一体となって祝うなか、ステージに一人残ったiriはギターを手に、デビュー前のスタイルである弾き語りに立ち返り、異例のロングヒットを記録した代表曲「会いたいわ」、そして亡き兄に思いを馳せる「brother」を披露した。 その飾らない真っ直ぐな響きと歌声が持つ揺るぎない説得力は、iriが8年の活動を通じて体得した唯一無二のもの。4月には韓国、台湾を回る『iri Asia Tour 2024』、さらに6月からは『iri Live House Tour 2024(タイトル未定)』も予定されており、30代を迎えた彼女がこの先も育んでいく音楽は海を越え、日本各地へとさらに広がっていくことだろう。 TEXT BY 小野田雄 PHOTO BY 田中聖太郎 ■『iri LIVE at 武道館』 2024年3月13日(水)東京・日本武道館 <セットリスト> 01. STARLIGHT 02. Sparkle 03. Corner 04. ナイトグルーヴ 05. 半疑じゃない 06. Watashi 07. 渦 08. Keepin’ 09. Telephone feat.5lack 10. 飛行 11. Shade 12. はじまりの日 13. hug 14. Coaster 15. friends 16. Run 17. 24-25 18. Wonderland [ENCORE] 19. rhythm 20. 会いたいわ 21. Brother
THE FIRST TIMES編集部