プロ野球で異常事態「何かがおかしい」ホームランが消えている…なぜ? 村上宗隆も発言「“飛ばないボール”は本当か」専門家にズバリ聞いた
現場「ボールが飛ばない」も…ミズノは否定
こうした事態を受けて、中日の立浪和義監督や2022年の三冠王・村上宗隆をはじめ、現場からも「今季のボールは飛ばない」といった声が噴出した。一方で、NPBおよびボールを製造するミズノ社は、製造・管理における変更点はないと“ボールの影響”を否定(4月23日付『中日スポーツ』)。5月に選手らへの聞き取り調査を行ったプロ野球選手会も、「0・4134」を目標値とするボールの反発係数には問題がないことを、日本野球機構(NPB)から提供された試験データによって確認しているという。
「理由は投手のレベルアップ」は本当か?
では、なぜこれほどまでに打てない環境――言い換えれば「投手優位」の環境――が生まれているのか。信憑性をもって語られているのが、「投手のレベルアップ」を主要因とする説だ。事実、2014年以降の直近10シーズンで、ストレートの平均球速は141.4kmから146.6kmまで上昇。「投手のレベルアップに打者が追いついていない」という主張は、一見、筋が通っているようにも思える。 しかし前出の宮下氏は、今年2月に公開した記事『1試合平均3.48得点。深刻化する“投高打低”の原因は本当に「投手のレベルアップ」にあるのか』において、複数のデータを根拠に「投手のレベルアップ説」に反論している。 具体的には、2019年から2023年にかけての5シーズンの球速帯別のストレートに対する「長打率」「コンタクト率」「引っ張り率」「フライ率」「HR/FB(フライ打球に占める本塁打の割合)」を比較。宮下氏の分析によれば、同じ球速帯のストレートに対して、シーズンを追うごとに長打率とHR/FBが下がっている一方で、コンタクト率、引っ張り率、フライ率は現状維持あるいは微増傾向にあった。
数字で判明「捉えた打球が伸びない」
投手のレベルが向上しているのは事実とはいえ、打者も手をこまねいているだけではなく、バットにボールを当てる技術を向上させ、ホームランを生み出しやすい「打球を引っ張る」「フライを打つ」といったポイントをおさえて対抗しているのが同データから読み取れる。にもかかわらず長打率やHR/FBが低下しているということは、つまるところ「捉えたはずの打球がホームランになっていない」ということだ。今季もこの傾向は続いており、4月18日に村上宗隆が口にした「打感や打球速度と飛距離が比例していない」といった言葉が、打者側の苦悩を如実に物語っている。 これらを踏まえたうえで、宮下氏は「“投高打低”が年々深刻化しているのは、投手のレベルアップ以外の環境要因が大きいのではないか」と仮説を立てる。 「先の記事で分析したのは2023年までのデータですが、今季はさらに極端な数字になっています。引っ張り、フライと、いい形でバットに当てるところまではできているのに、当たったあとのデータが著しく下落している。そこから『何かがおかしいのでは』というのは推測できます」
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