マネジャー転向した3年生に 長野東の選手が果たした約束 高校駅伝
京都市で22日に開催された男子第75回、女子第36回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催、SGホールディングス特別協賛)。女子は長野東が1区から先頭を走り続け、2年ぶり2回目の優勝を果たした。フィニッシュテープを笑顔で切った田畑陽菜選手(2年)は、上着を持ってきたマネジャーの武田悠華さん(3年)の顔を見ると涙があふれた。「メダルを掛けてあげられる」。競技から離れた先輩との約束を果たせたことに感極まった様子だった。 【写真特集】全国高校駅伝 女子・長野東、男子・佐久長聖が優勝 武田さんは昨年の都大路は控えメンバーだった。春から股関節の痛みが続き、先天性の股関節形成不全が見つかった。横打史雄監督からマネジャー転向を打診されたが、すぐには返答できなかった。主将の窪田舞選手(3年)は「部を辞めるという話もあったけど、絶対にいやだと言い続けてきた」。その声に応えて部に残り、夏前からマネジャーに専念し始めた。 当初は「悔しさがあったし、素直に応援できないところもあった」と武田さん。しかし、練習のメニューを考えたりしているうちに「先を読んで行動したり、相手の気持ちを考えたり。難しかったが、やってみると楽しかった」。練習中にタイムを取り、コースの乱れがあれば整備道具の「トンボ」を持って走る。選手の相談にも乗る。そんな姿に「絶対に悠華にメダルを掛ける」というのがチームの目標になった。金色のメダルを獲得し、窪田選手は「一番いい色のメダルを掛けてあげられるのがうれしい」と笑顔を見せる。 閉会式終了後、武田さんにチームメートから金メダルが掛けられた。武田さんは「すごく重い。頑張ってきて良かった」。都大路を走ったメンバーだけでなく、チーム全員で取ったメダルをいとおしそうに見つめた。【鈴木英世】