広島勢の名門対決 広陵、遅れてきたエース森山快投、中国王者に
高校野球の秋季中国大会は31日、山口市の山口マツダ西京きずなスタジアムで決勝があり、広陵が広島商との広島勢対決に7―0で快勝し、3年ぶり12回目の優勝を果たした。 秋の中国王者の座を懸けた広島の名門対決は30年ぶり。エース右腕・森山の好投で、広陵が県大会準決勝で敗れた広島商に雪辱を果たした。 連打に失策が絡んだ一回1死二、三塁のピンチを切り抜け、リズムに乗った。四回1死一、二塁では外に逃げるスライダーで注文通りに遊ゴロ併殺。打線の援護も得て140キロ台の直球にスライダー、スプリットなどを交えてテンポよく投げ込み、粘り強い広島商打線を八回まで無得点に封じ込めた。九回に右太もも裏がつって降板したが、被安打5、与四死球1の内容に、森山は「自分の役割を意識し、踏ん張って投げた」と振り返った。 前日の準決勝は五回途中3失点で降板。抑えようという気持ちが先走って制球に苦しんだ。再び先発を任されて意識したのは「平常心」。さらに、体の開きを抑えるようにフォームを修正したことで直球、変化球ともコースに決まるようになった。 身長181センチの本格派だが、高校入学後は右肩の靱帯(じんたい)損傷などに苦しんだ。ようやく故障が癒えた今秋の県大会で初のベンチ入りを果たすと、中国大会は4試合全てに先発し、準決勝以外は無失点。選手を直接ほめることの少ない中井監督だが、「この大会を通じて一番伸びた」とたたえた。 甲子園でセンバツ優勝3回の広陵にとって、夏を含め7回優勝の広島商は「負けられない相手」だ。県内のライバルを制しての頂点にも、中井監督は「たくさん部員がいるので、もう一度みんなをスタートラインに立たせて、もっと強いチームをつくっていきたい」とさらなる高みを見据えた。【野村和史】