「式部の恋文見せびらかす」夫のヤバすぎる行為 年の差夫婦の式部と宣孝、新婚早々大ゲンカ
今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は紫式部と夫である藤原宣孝との新婚生活のエピソードを紹介します。 著者フォローをすると、連載の新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます。 【写真】紫式部の邸宅跡とされる京都・廬山寺 ■越前を離れ、夫が住む都に向かう式部 藤原宣孝と結婚することを決断した紫式部。父・藤原為時の赴任先である越前国(福井県)をいち早く立ち、宣孝がいる都に戻ってきました。
越前から都に戻る途上に詠んだと思われる歌に「名に高き越の白山ゆきなれて伊吹の嶽をなにとこそ見ね」というものがあります。 (有名な越前の白山は往き来し慣れているので、伊吹山の雪など何でもありません)という意味です。 ちなみに詞書には「みづうみにて、伊吹の山の雪いと白く見ゆるを」(琵琶湖にて、伊吹山の雪がとても白く見えた)と書かれています。 式部は越前にいたとき、庭先に山のように積もった雪を「見てみましょう」と誘われても、「故郷の京の都に帰る山路の雪ならば、見にでも行きましょうか」とそっけない態度を取ったほどでした。
それが、今では「雪なれて」と詠んでいるのです。気分がよい、ウキウキしている式部の心情を読み取ることができます。 もう二度と雪国・越前に帰らなくていい、そして都が目前に迫っている。そんな気持ちが、このような歌を詠ませたのでしょうか。 また、造られてから長い年月が経つ卒塔婆(木造供養塔)が倒れ、道を行き来する人々に踏みつけられる光景を見た式部は「心あてにあなかたじけな苔むせる仏の御顔そとは見えねど」と詠みます。
(推測ではあるが、あれが仏様のお顔にあたる部分だと思うと、もったいない。人が踏むではないか。でも、苔むした卒塔婆を見ると、とても仏様だとはわからないが) 道に倒れている卒塔婆にも注目し、思いやるかのような歌を詠む式部。 越前時代は頑なになり、まるで氷の世界の中にいるように、心が閉ざされていた式部でしたが、ここに来て、雪解け、春が訪れたようです。 ■50歳目前の宣孝と20代後半の式部 その式部の心を解かした人が、夫となる藤原宣孝でした。宣孝は50歳目前、式部は20代後半。年の差夫婦の結婚生活はどうなるのでしょうか?