米株高にブレーキも、企業利益見通しとの乖離を懸念-ウィルソン氏
(ブルームバーグ): ウォール街で弱気派として知られるストラテジスト2人が、今年最高値を塗り替えた米国株の上昇は、企業利益が期待外れとなれば失速するとの見方を示している。
モルガン・スタンレーとJPモルガン・チェースは、S&P500種株価指数が最高値を更新する一方で、利益見通しが弱まっていることに懸念を強めている。ここ5カ月の株高はファンダメンタルズの改善というよりも、金融環境の緩和とバリュエーションの上昇がもたらしたものだと、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は指摘している。
ウィルソン氏率いるチームはリポートで「米国におけるマルチプルの拡大は、上向きの利益見通しに依存している可能性が高い」と記述。「2024年と25年の利益見通しがこの期間ほとんど変化していないことを踏まえると、ファンダメンタルズだけで指数レベルの割高なバリュエーションを正当化するのは難しい」と続けた。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたデータによると、今年の1株当たり利益のコンセンサス予想は11月初旬時点の11%増から足元では約9%増と、過去5カ月に切り下がっている。しかし、利益予想が引き下げられる一方で、米国株は利下げ観測や人工知能(AI)開発を巡る楽観論から値上がり基調が継続。10-12月(第4四半期)決算が予想を上回ったことも株価を押し上げている。
JPモルガンのミスラフ・マテイカ氏も、企業の利益予想と株価の乖離(かいり)を懸念している。
マテイカ氏率いるチームは「さまざまな理由から、利益の伸びが期待外れに終わるリスクを懸念している」と指摘。「利益の伸びが加速しなければ、足かせとなるだろう」と述べた。
モルガン・スタンレーとJPモルガンのストラテジスト陣は、ウォール街の主要銀行の中でもとりわけ悲観的な見方を示している。JPモルガンでは、S&P500種が直近終値を20%下回る4200の水準で終えると予想。ウィルソン氏は4500に下落するとみている。