氾濫や決壊すれば首都に大被害も…首都圏を流れる「荒川」の水害対策
日テレNEWS NNN
もし氾濫すれば濁流が都心部を襲い、首都機能がマヒすると言われている「荒川」。水害を防ぐいくつかの対策を取材ました。 ◇ 流域には1020万人が住み、東京と埼玉を流れる「荒川」。洪水から首都を守るため橋のかけ替え工事がおこなわれています。 国交省 荒川下流河川事務所・門屋博行副所長「今年の11月から新しい橋の橋脚を構築する予定」 足立区と葛飾区にかかる「京成本線荒川橋梁」です。ここは“荒川の弱点”といわれています。その理由は。 門屋副所長「堤防と橋が交差する地点を見ていただきたい」 記者「へこんでませんか?」 門屋副所長「非常に治水上危険な箇所ととらえている」 荒川ではこれまで、堤防のかさ上げをおこなってきましたが、この場所は、鉄道橋がかかっているため、かさ上げができず、周囲の堤防よりもおよそ4メートルも低くなったままとなっています。大雨の時には、この場所から決壊するおそれがあるのです。 このため、国交省と京成電鉄は橋のかけ替えと堤防のかさ上げの工事を一緒におこなっていて、2037年度の完了を目指しています。 東京を流れる荒川の下流域、実は、洪水を防ぐためにつくられた「人工の川」。これまで一度も氾濫したことはありませんが、そんな荒川にも氾濫の危機がありました。2019年の東日本台風です。 下流では、戦後3番目の高さとなる水位を記録しました(※荒川下流〈東京北区 岩淵水門〉で7.17mを記録)。この時、下流を守ったのが埼玉県にある「荒川第一調節池」です。この調節池に水をためたことで、下流の水位を30から40センチほど低下させた効果があったといいます。 荒川の横にあるこの調節池は川の水を一時的にためる役割を担っていて、荒川下流域の水害を減らすことができるのです。 さらに、現在、第一調節池の上流では── 記者「一面土に覆われていて堤防のようなものがつくられている」 第二、第三の調節池を整備し、より洪水に強い川づくりが進んでいます。3つの調節池が完成すると、およそ9000万トンもの水をためることができるといいます。 こうした対策を国が進める中、私たちが、荒川の氾濫の危険性を知るには「上流の水位」がヒントになります。 河口からおよそ40キロ、さいたま市にある「治水橋水位観測所」です。 国交省 荒川下流河川事務所・渡辺健一副所長「治水橋の水位を注視する必要がある。下流の水位を予測する上で上流の水位は重要な材料」 東日本台風の時、治水橋で記録したピークの水位はおよそ5時間後に20キロ下流にある東京・北区の岩淵水門で観測されました。 つまり、この上流の治水橋の水位を見ることによって、下流の水位を傾向を予測できるのです。 渡辺副所長「川の防災情報で水位やライブ映像が見られる。上流の水位を見て、これから自分たちの町がどうなっていくのか予測してもらうことが重要」 まもなく、本格的な大雨の時期を迎える中、川を知り、備えを進めることが大切です。