「広島駅で殺人」予告がネットで拡散、一部店舗が休業 広島県警が捜査、専門家「調べれば投稿者はすぐに分かる」
今月に入り、JR広島駅(広島市南区)での殺人を予告する投稿がインターネット上で拡散され、商業施設の一部店舗が臨時休業に追い込まれるなどの影響が出た。当日は何も起きなかったものの、悪質な投稿は威力業務妨害罪などに当たる可能性があり、専門家は安易な投稿に警鐘を鳴らす。 広島駅では昨年、不審物騒ぎも インターネット掲示板に1日、「4日に広島駅で無差別殺人しようと思う」と書き込みがあった。交流サイト(SNS)を通じて拡散され、気付いたJR西日本中国統括本部は駅や隣接する商業施設の従業員に警戒を周知した。当日は警察官も警戒に当たったが、異変はなく、列車の運行にも影響はなかった。 一方、商業施設の運営会社によると、日曜だった4日は飲食店など4店舗が臨時休業した。「危難回避のため」として休業を伝える張り紙を掲げた店もあった。休業した店の男性店長は客と従業員の安全確保のための対応とし、「売り上げにも影響する。駅の利用者に怖い思いをさせたと分かってほしい」と憤った。 広島駅では10日の犯行を予告する書き込みもあり、広島県警が威力業務妨害の疑いで捜査している。同日は名古屋や東京の駅での殺人を予告する投稿もあった。 ネット上での殺人予告などを巡っては、投稿者が摘発されたケースもある。2008年には広島駅での無差別殺人を予告した18歳の少年が逮捕された。19年には山口県庁へのテロを予告した女性が逮捕され、県は警戒に当たった職員の人件費約50万円の損害賠償を女性に求め、女性は全額を支払った。 広島大大学院の匹田篤准教授(メディア論)は「投稿が拡散されると真実味が増したようになる。SNSで広めるなどの過剰な反応をしないことが重要」と指摘する。その上で「ネット上は匿名社会と言われるがそうじゃない。(捜査機関などが)調べれば、投稿者はすぐに分かる」と警告する。
中国新聞社