<集団的自衛権を考える>日本の「イスラム国」攻撃への参加はあり得るのか?
新方針がかなり広く適用される可能性も
一方、国会での説明によれば、新方針が、実際には、かなり広く適用される可能性があることが示唆されました。安倍首相が繰り返し示した、日本人の母と子が米艦に助けてもらって避難してくる場合です。この船が第三国から攻撃されるというのはもちろん由々しい事態ですが、「国家の存立が脅かされる」場合と言えるか、常識的には疑問があります。もしこのような場合にも適用されるのであれば、「国家の存立が脅かされる」とは、実はかなり広い意味になるのではないでしょうか。 また、新方針によれば、自衛隊の派遣先は公海に限られていませんが、国会答弁では自衛隊は外国の領土へは派遣しないと説明されました。そうすると、イスラム国がシーレーンを切断すれば、公海上のことだから自衛隊は出動するが、パイプラインであればどこかの国の領土内のことだから出ていかないということになり、一貫した対応になりません。 国会などでの審議においては、これらを含め残っている問題点が十分検討され、必要に応じて修正されることを願いたく思います。 (美根慶樹/キヤノングローバル戦略研究所)