知人が高級時計や車を所有しているのに「生活保護」を申請するそうです。受給できるのでしょうか?
経済的に困窮している人が利用できる生活保護制度には、いくつかの受給要件が定められています。 そのひとつに「所有できる財産に関する制限」があり、申請時点で所有している財産については売却するなどして、処分しなければなりません。「高級時計や車を所有している知人が生活保護を申請するらしいが、可能なのか?」という疑問がある場合は、詳細を確認してみましょう。 本記事では、生活保護を受給するうえで所有に制限がかかる財産の種類や、生活保護を受給していても所有が認められる財産についてご紹介します。
所有が制限される財産とは?
生活保護を受けるにあたって所有が制限される財産には、持ち家や自動車・大型バイク・高級腕時計・貴金属といったぜいたく品などが挙げられます。これらの財産は、売却して生活費に充てられる可能性があるため、生活保護の申請前に売却および処分することを検討しなければなりません。 また、生命保険や学資保険など、貯蓄型の保険についても同様です。契約している保険がある場合は、解約して解約返戻金を受け取り、生活費に充てるよう指導されることがあります。 生活保護は「世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提」の制度ですので、まずは自力で家計を維持することを目指して、それでも難しい場合に申請できます。
生活保護を受給していても所有が認められるケース
生活保護を受給していても、場合によっては所有が認められる財産もあります。 例えば不動産の場合、売却したら住む場所がなくなってしまう居住用の持ち家については、手放してしまうと最低限度の生活を送ることが困難になることから、引き続き所有できる可能性があります。なお、所有を認められるものであっても、世帯の人員や構成から判断して、部屋数に余裕があると認められる場合は、間貸しにより活用するよう指示される場合もあります。 自動車についても、通勤用の自動車を持ちながら求職している場合などは、処分せずに生活保護が受けられることもあるでしょう。また、処分価値が小さいものであることなど、一定の条件のもとで保有を容認される場合もあります。 生命保険や学資保険なども、解約返戻金が少額な場合は解約しなくてもよい可能性があるため、確認しておきましょう。 売却して生活費に充てられる可能性のある財産を所有しているにもかかわらず、生活保護の申請を検討されている方がいたら、所有が認められるケースに該当しているのかもしれません。ただし、所有しているものが高級腕時計や貴金属の場合は、売却を求められる可能性が高いでしょう。