シャトルランの音は「悪夢」 高校生が新たなメロディーを文科省に提案したら
Nコンで準優勝に輝く
制作に約5カ月を費やしたラジオ番組「シン・シャトルラン」は、7月に行われた放送部の全国大会「第71回NHK杯全国高校放送コンテスト」のラジオドキュメント部門で準優勝に輝いた。 制作メンバーは、麸澤咲子さん、木田澪さん、太田風花さん(いずれも2年)の3人。同じメンバーで1年次にラジオ番組を作った経験をもとに、「音」を扱うと決めた。「番組テーマを『音』にすれば、音だけで何かを伝えるラジオの特性を最大限に生かせます」(麩澤さん)。「音」の題材を探る中で、メンバーの太田さんの「シャトルランの音が嫌いなんだよね」との一言に、一同共感し、番組の方向性が定まった。
「真面目にふざけた」せりふ回しにこだわり
番組構成は全編にわたりエンタメ色を強くした。心底楽しんだ制作時を振り返り、3人は「私たちは面白いものが好き」「真面目にふざけてます」「聞き手に笑ってほしい」と話す。 中でも、麩澤さんが情感を込めに込めた声を届けるナレーションには笑いを誘われる。「年に一度、平穏な高校生活を破壊するシャトルランの音」「春にシャトルランの音を聞くだけで弁当の味もしなくなる」。そんなせりふの言い回しの妙も光った。不安をあおるBGMや、制作側の心情を乗せたピアノの効果音なども巧みに挿入し、3人は細部まで「音」にこだわり抜いた。 「取材した内容を単に紹介するだけでなく、私たち制作側の考えも盛り込む。それが番組作りで大切」(麩澤さん)。彼女たちは、新たなシャトルランの音を作ることで「高校生ならではの独自視点」を番組内で示した。 さて、今後の行動は聞き手に委ねられたのだ。「このままでは『あの地獄』を体験し続けることになります(笑)。苦しい、嫌だな、そう思ったとき、私たちの番組がシャトルランの未来を照らす問題提起となれば」(木田さん) 受賞作品はこちら。
旭川東高校放送局
創立時期不明(1969年に活動歴あり)。局員16人(3年生5人、2年生6人、1年生5人)。授業日に放送室などで活動。主な大会受賞歴は、「第44回NHK杯全国高校放送コンテスト」創作テレビドラマ部門優勝、「第57回NHK杯全国高校放送コンテスト」テレビドキュメント部門優勝。2024年度は「第71回NHK杯全国高校放送コンテスト」ラジオドキュメント部門「シン・シャトルラン」で準優勝。
高校生新聞社