テスラ株てこ入れ狙うマスク氏戦術か、自動運転タクシー発表に言及
(ブルームバーグ): 電気自動車(EV)メーカー、米テスラの自動運転タクシーについて8月8日に発表するとイーロン・マスク氏が表明したことには、悪循環に歯止めをかけたい同社の意向が透けて見える。
テスラ、自動運転タクシーについて8月8日に発表-マスクCEO
テスラの株価は、2日に低調な1-3月(第1四半期)納車台数を発表する前から既に落ち込んでいた。発表の数日後にはロイター通信が、低価格のEV計画の棚上げを報じ、株価はさらに下げた。マスク氏のあいまいな否定は効き目が十分ではなく、5日の通常取引終値はマイナス圏で終了。この時点で年初来パフォーマンスは、S&P500種株価指数の構成銘柄で最悪となった。
そこで、マスク氏はこれまでにも効果があった戦略に目を向けた。新製品をちらつかせてテーマを変えるというものだ。株価は5日の通常取引後の時間外取引で急伸し、週明け8日終値は4.9%高となった。
人目を引くイベントは以前から、従来型の広告宣伝費をほとんど使わずに話題を集めるテスラの戦略の一部だった。マスク氏には、投資家の目を足元の苦境ではなく未来に向けさせる手腕がある。とはいえ、同氏が公表する製品が生産に移行するには数年かかることが多い。
実際、マスク氏は自動運転車について10年余り前に示した予想を実現できていない。
分析会社バイタル・ナレッジの創業者アダム・クリサフルリ氏は「投資家はテスラと同社のさまざまな製品発表への熱狂を少し抑える必要がある。誇大広告・臆測と現実の間には大きな隔たりが存在しがちだ」とし、「これは、現在のEV市場の状況から目をそらそうとするテスラの取り組みの一つに見える」と電子メールで指摘した。
投資家が、マスク氏が最近示したムーンショット(困難だが実現すれば大きな影響をもたらし得る挑戦)を受け入れるかどうかは今後数週間でより明確になるだろう。同社は23日に1-3月(第1四半期)決算を発表する予定。