「カジノで見返りを」中国企業が日本の議員らに3億円の賄賂工作…マカオ旅行ではセリーヌのバッグ贈呈、夜は “女性” も手配の大豪遊
「IR汚職」事件に新たな展開だ。 米司法省は11月18日(現地時間)、中国のオンライン賭博業者「500ドットコム(現ビットマイニング)」の元CEO(最高経営責任者)潘正明被告を、「海外腐敗行為防止法」違反などの疑いで起訴した。 【写真あり】「セックスワーカー」と明記された米司法省の資料 「司法省の発表によれば、潘氏はIR(カジノを含む統合型リゾート)事業を日本で始めるため、国会議員を含む日本政府関係者に賄賂を渡したのことです。 コンサルタントに仲介させた額はおよそ200万ドル(約3億円)にのぼります。外国の政府高官の買収は重罪ですから、同社には5400万ドル(約84億円)の罰金を科す方針でしたが、捜査協力を条件に、600万ドル(約9億円)程度まで減額される可能性があるようです」(政治担当記者) 公開された起訴状や広報資料を読むと、賄賂の生々しい実態が明らかになる。たとえば2017年12月には、複数の政府関係者がマカオに招待されている。 《この旅行には、深圳にある同社オフィスへの短時間の訪問が含まれていたが、プライベートジェットのフライト代、ギャンブル用のチップ、高級品、食事、セックスワーカー、5つ星ホテルの支払いが含まれ、賄賂を現金で渡す機会として利用された》(編集部訳、一部省略あり) 費用は、およそ22万ドル(3400万円)かかった。このとき、お土産に選ばれたのが「セリーヌのバッグ」だった。潘氏の音声記録が残っているという。 《潘氏は(チャットアプリの)WeChat経由で、コンサルタントに「商品を購入します。セリーヌの商品ですか? では、いくらか見てみましょう。彼は国会議員ですから……どう思いますか? 買ったほうがいいのであれば、私たちが買ったほうがいいかもしれません。お金はすでに用意しています」と音声メッセージを送信した》 このとき、賄賂の実態を隠すため、同社は虚偽の請求書を送り、返金されたように見せかけたが、実際に返金されることはなかった。 招待旅行はマカオだけではない。 《2018年2月頃、同社は日本政府関係者と家族を北海道へのスキー旅行に招待し、6871ドル(約110万円)を支払った。潘氏は参加しなかったが、リフト券、スキー用具、スノーモービル、温泉訪問、そのほかのエンタメなど、旅行中のすべての費用を支払った》 同行したコンサルタントは、現地から潘氏にこんな報告をしている。 《ある政府関係者は(楽しむ)息子の様子を見て「ふだんはこんなことをしないので、とても幸せです」と食事中に話し、「IR誘致に全力を尽くす」と言った。潘氏は「これはいい知らせだ」と小躍りした》 プライベートジェットでのマカオ旅行、高級ブランド「セリーヌ」のバッグ購入、そして夜は女性(セックスワーカー)の手配。さらに豪華な北海道スキー旅行……これらの接待はみな賄賂 のためだったと報告されている。 「起訴状では、賄賂や接待を受けたのは『日本政府関係者』と匿名にされており、国会議員だけでなく、高級官僚だった可能性もあります。しかし、実名が明かされなかったことで、SNSでは誰が賄賂をもらったのか、“犯人探し” で騒然としています」 実際、Xには、 《ビビってる国会議員、与野党共に何人もいるんじゃないかな かなり具体的に顔が浮かんでくる》 と投稿されるなど、大きな話題を呼んでいる。前出・政治担当記者がこう説明する。 「IR汚職に関しては、内閣府副大臣(IR担当)だった秋元司元衆院議員が、今年3月、東京高裁で760万円相当の賄賂を受け取った収賄罪などで、懲役4年と追徴金の実刑判決を受けています。 この問題が起きたとき、東京地検特捜部の任意聴取を受けたのが、自民党の岩屋毅外務大臣、中村裕之氏、宮崎政久氏、船橋利実氏、日本維新の会(当時)の下地幹郎氏です。 下地氏は100万円の受け取りを認め離党しましたが、ほかの4人は授受を否定しました。今回のアメリカでの起訴を不安に思っている人もいるかもしれません」 500ドットコムは、賄賂に3億円使ったものの、結局、日本でのカジノ運営に参入することはできなかった。その怒りは相当なものだろう。 今回の潘氏の起訴について、日本も捜査協力していることが判明している。中国側の工作に籠絡された “政府関係者” の名前は、いずれ明らかになるかもしれない。