坂東玉三郎6月南座特別公演に「見た目の美しさや、音楽の心地よさを楽しんで」
歌舞伎俳優の坂東玉三郎が1日、京都市内で南座6月「坂東玉三郎特別公演」(6月12日~26日)の取材会を行った。 今年は「口上」「壇浦兜軍記 阿古屋」に出演。片岡千次郎が「阿古屋」解説を行う。遊君阿古屋は、平家の武将悪七兵衛景清の愛人。平家滅亡後残党狩りが行われるなか、詮議の指揮をとる秩父庄司重忠が琴、三味線、胡弓(こきゅう)を弾かせることで、阿古屋の心中を推し量ろうとする物語だ。三曲を実際に演奏しながら、微細な心情を表現する女形の大役を演じる玉三郎は「動きの少ない芝居ですが、内容は幾重にも重なっている。見せ場は三曲を弾く場面ですが、実際にはありえないことを、見ている間に乗り越えていってしまうというところが芝居の夢の時間。映像とは違う舞台の面白さだと思います」と歌舞伎ならではの魅力を語った。 口上のほか、解説をつけたことについては「初めての方はもちろん、分かっていらっしゃる方でも、改めてお分かりいただけることもあると思います」とより作品世界を理解してもらう工夫をこらしている。若手にも大役を演じる機会を与えている玉三郎。「歌舞伎俳優も少なくなってきています。どんどんできる方がやるという時代になった方がいい」と、勉強会などで実力をつけてきている若手の抜てきについても心中を明かした。 豪華な衣装も見所のひとつ。「初めてご覧になる方は、内容がわからなくてもいいと思っています。見た目の美しさや、音楽の心地よさを楽しんでください。そこからだんだんと内容が分かるようになるし、細かいこと分かったって楽しくないと意味ないので。そのために解説もつけました」と、歌舞伎初心者の来場も呼びかけた。
報知新聞社