道教寺院の武術体操、都会の若者の疲れを癒す・中国
【東方新報】北京市で働く若いホワイトカラーは、日々の仕事や目まぐるしい都市生活で、疲れ果ててしまうことがある。 北京市の中心部、西城区(Xicheng)にある道教の寺院「白雲観」は、若い住民たちが日常の苦痛やストレスから解放され、精神を落ち着かせ、内なる平穏を見出すためのオアシスとなっている。 「白雲観」の庭園は、高くそびえる木々に覆われ、焚かれるお香の香りに包まれている。寺院の至る所で道士(道教の僧侶)の姿が見かけられる。ここは中国の道教の歴史的な重要性と信者にとっての重要さを思い出すことができる場所だ。 ここで道士たちが毎週末熱心な修行者たちに「八段錦(Baduanjin)」を教えている。これは伝統武術の「気功」の一種で、8つの伝統的な中国式フィットネス体操、瞑想、呼吸法を組み合わせた武術体操だ。 トンさん(30)は、2017年から「八段錦」を指導しているインストラクターの一人だ。彼は「私たちは、現代人の体調が以前とは違うことに気づきました。多くの人びとは、体調が優れず、武術や太極拳を習うことができません。それで私たちの師匠は、一般の人たちが習うことができ、体調を改善できる健康維持のエクササイズを幾つか提案しました。そして、『八段錦』がこの寺の『公共福祉クラス』で教えられることになったのです」と説明した。 「私たちの師匠の願いは、私たちの伝統的な中国文化を広め、より多くの人びとにその奥深い文化を知ってもらい、そこから恩恵を得てもらうことです」、トンさんはこう語った。 毎週土曜日と日曜日の午前9時30分から11時まで行われる「八段錦」のクラスには、2つのコースが設けられている。指導するのは、湖北省(Hubei)にある中国で最も神聖な道教の聖地「武当山(Wudangshan)」で幼い頃から武術を学んできた道士だ。 「気功」はもともと中国の民衆の間で行われていた一連のエクササイズで、昔からの発展の過程で、そのエクササイズの劣った要素は捨てられ、残ったものは洗練され、現在の形の「八段錦」になったという。 「八段錦」は「気功」だけでなく、その他のさまざまな流派やスタイルの武術の技も取り入れたことで、さらに発展した。 トンさんの話によると、「武当山」の「三豊派」は呼吸と健康維持に重点を置く流派で、一方「少林派」の方は筋肉と内面力を強調し、より力強く外向的なスタイルを実践する流派だという。 「白雲観」では、道教の一つ「全真教」の「華山派」に由来する、生命の活力である「気」と「血液」の流れの調節に重点を置いたスタイルの武術エクササイズを指導している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。